抹茶ラテやほうじ茶ラテに並べるメニューとして、玄米茶を考えるカフェがあります。玄米茶は緑茶に炒った米を混ぜたお茶で、名前から想像するより中身の幅が広く、米の種類や混ぜる割合、抹茶が入るかどうかは商品ごとに違います。日本の業界団体の表示基準と公的な成分表、茶の会社の公式の情報から、玄米茶の中身とカフェイン、メニューへの使い方と仕入れで確かめることを順に見ていきます。
玄米茶とは
玄米茶は、煎茶や番茶などの緑茶に、炒った米を加えたお茶です。お茶の部分は緑茶なので、紅茶やウーロン茶の仲間ではありません。米を炒った香ばしい香りが、緑茶の渋みに重なります。
表示基準の定義
日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」(業界団体が定める緑茶の統一基準、2026年7月10日最終改正)は、緑茶の名称ごとに定義を決めています。玄米茶は「煎茶や番茶などに炒った米を加えたもの」です。番茶は、伸びて硬くなった葉や古い葉、茎などで作るお茶です。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(以下、成分表)も、玄米茶を煎茶や抹茶と同じ「緑茶類」に入れています。英名は「Genmai-cha (mixture of tea and roasted brown rice)」です。
味と香り
京都の老舗、一保堂茶舗は、自社の玄米茶を、炒ったお米の香ばしさと、すっきりした渋みのあるお茶と説明しています。食事に合わせるお茶として勧めていて、英語のサイトでは Genmaicha と書いています。
玄米茶の原料:茶葉と炒った米
玄米茶の原料は緑茶の茶葉と炒った米の2つで、米は名前と違って白米のこともあります。茶葉と米の割合を決めた基準はなく、商品ごとに違います。
茶葉:煎茶・番茶など
表示基準の定義は「煎茶や番茶など」で、茶葉の種類を1つに決めていません。一保堂茶舗の英語のサイトでは、玄米茶の茶葉は「yanagi(柳)」と呼ぶ大きめの葉の緑茶で、苦みの軽い葉をたっぷり使い、米はあえて少なめにしているとしています。
米:もち米・うるち米・玄米
成分表は、玄米茶の例として、せん茶50%に、炒ったもち米10%と、蒸して乾かしてから焙煎したうるち精白米40%を混ぜたものを挙げています。精白米は、玄米の外側を削った白い米です。成分表は同時に「配合のばらつきは大きい」とも書いています。英名は roasted brown rice(炒った玄米)ですが、説明の配合例には白米が入っています。
一保堂茶舗の極上玄米茶の原材料は「緑茶(国産)、ほうじ米(国産)」です。同じ商品の英語のサイトでは、米を浅く炒ったものと、粒がふくらむまで深く炒ったものの2段階で炒っているとしています。
出典: 日本茶業中央会「緑茶の表示基準」(2026年7月10日最終改正) https://www.nihon-cha.or.jp/pdf/hyoujikijyun.pdf
原材料の並び順で、どちらが多いか分かる
表示基準では、原材料名は「茶」または「緑茶」と書き、茶のほかに使える原材料として炒った「米」が挙がっています。原材料は使った重量の多い順に書くため、「茶、米」なら茶葉が多く、「米、緑茶」なら米が多い商品です。割合の数字を書く決まりはないので、何対何かは仕入れ先に聞きます。
抹茶入り玄米茶とは
抹茶入り玄米茶は、玄米茶に抹茶を加えたお茶です。抹茶の量を決めた基準はなく、商品ごとに違います。
表示基準での書き方
表示基準の名称の表に「抹茶入り玄米茶」はありません。表には「混合茶」があり、異なる茶種を混ぜたものは、最も重量の多いお茶を末尾にして「〇〇入り××茶」と書くとしています。この書き方にあてはめると、「抹茶入り玄米茶」は、玄米茶が主で、抹茶が加わったものと読めます。
抹茶は、表示基準では碾茶(てんちゃ:覆いをかけて育て、揉まずに乾かした茶葉)を茶臼などで微粉末にしたものです。
原材料の欄だけでは抹茶の有無が分からないこともある
表示基準では、原材料名は「茶」または「緑茶」と書くため、抹茶も「茶」や「緑茶」とまとめて書けると読めます。抹茶が入っているかは、原材料の欄だけでなく、名称や商品名、仕様書でも確かめます。抹茶の割合も表示の決まりはないので、色を見本どおりにしたいときは、サンプルで淹れた色を見比べます。
抹茶・ほうじ茶との違い
玄米茶・抹茶・ほうじ茶は、どれも日本の緑茶ですが、原料と作り方と飲み方が違います。玄米茶は茶葉に炒った米を混ぜ、抹茶は碾茶を粉にし、ほうじ茶は茶葉を強い火で焙じます。
違いの一覧
| 玄米茶 | 抹茶 | ほうじ茶 | |
|---|---|---|---|
| 原料 | 煎茶・番茶などの茶葉と、炒った米 | 碾茶 | 煎茶・番茶など |
| 作り方の特徴 | 茶葉と炒った米を混ぜる | 碾茶を茶臼などで微粉末にする | 強い火で焙る |
| カフェイン(成分表) | 浸出液100gあたり10mg | 粉100gあたり3.2g(2gの1杯で64mg、計算) | 浸出液100gあたり20mg |
| 飲み方 | 茶葉を淹れる。粉なら溶かして飲む | 粉を溶かして葉ごと飲む | 茶葉を淹れる。粉なら溶かして飲む |
定義は日本茶業中央会の表示基準、カフェインは成分表によります。ほうじ茶の原料と焙じ方はほうじ茶とはに、抹茶と煎茶の違いは抹茶と緑茶(煎茶)の違いにまとめています。
原料の値段
農林水産省の資料(全国茶生産団体連合会調べ)では、2025年産の荒茶(あらちゃ:仕上げる前のお茶)の全茶期平均の値段は、碾茶が1kg 8,562円、煎茶が1,746円、番茶が1,812円でした。抹茶の原料の碾茶は、玄米茶の茶葉に使われる煎茶・番茶の4倍以上の値段です。玄米茶という区分はこの資料にないため、玄米茶そのものの値段は分かりません。
カフェインの違い:成分表の値で比べる
成分表では、玄米茶の浸出液のカフェインは100gあたり10mgで、煎茶とほうじ茶の浸出液の20mgの半分です。番茶の浸出液と同じ値です。
浸出液100gあたりの値
| 飲み物 | カフェイン(浸出液100gあたり) | 成分表の淹れ方 |
|---|---|---|
| 玉露 | 160mg | 茶10gに60℃のお湯60mL、2.5分 |
| 煎茶 | 20mg | 茶10gに90℃のお湯430mL、1分 |
| ほうじ茶 | 20mg | 茶15gに90℃のお湯650mL、0.5分 |
| 玄米茶 | 10mg | 茶15gに90℃のお湯650mL、0.5分 |
| 番茶 | 10mg | 茶15gに90℃のお湯650mL、0.5分 |
出典: 文部科学省 食品成分データベース「玄米茶 浸出液」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16041_7
成分表は茶類について、上級品と下級品で成分がかなり違い、主に中級品を分析したとしています。
抹茶と比べると
抹茶は粉ごと飲むので、1杯に使う量でカフェインが決まります。成分表の抹茶は100gあたり3.2gで、京都府茶業研究所の点て方の約2gなら計算で64mgです。量ごとの計算は抹茶のカフェインにまとめています。
抹茶入りとパウダーの値は成分表にない
成分表の玄米茶は浸出液の値だけで、抹茶入り玄米茶や玄米茶パウダーの値は載っていません。抹茶入りは、加えた抹茶の量によってカフェインが変わります。パウダーは粉ごと飲むので、淹れたお茶とは量が違います。お客さんに数字で答えたい場合は、仕入れ先に分析値を出してもらうか、検査機関に依頼します。
玄米茶パウダーとは
玄米茶パウダーは、表示基準の名称にあてはめると、茶葉と米を粉に挽いた「粉末茶」の形と、お茶の成分を抽出して乾かした「インスタントティー」の形に分かれます。どちらかは原材料と仕様書で見分けます。
表示基準の2つの名称
| 名称 | 表示基準の定義 |
|---|---|
| 粉末茶 | 茶を粉砕機などで粉末にしたもの |
| インスタントティー | 緑茶から水に溶ける成分を抽出し、濃縮・乾燥して粉や粒にしたもの |
表示基準は、インスタントティーの原材料名の例を「茶、デキストリン」としています。デキストリンは、でんぷんから作る粉です。挽いた粉は茶葉と米をまるごと口にし、インスタントティーは水に溶ける成分だけが粉になっています。どちらも、碾茶を茶臼などで挽いた抹茶とは別の名称です。
砂糖入りのミックス
ラテ用の粉には、砂糖や乳成分を混ぜたミックスもあります。原材料に砂糖や乳成分が書かれていれば、1杯の甘さが決まったミックスです。店で甘さを変えたい場合は、茶と米だけの粉のほうが調整できます。抹茶の場合の見分け方はPure matcha(ピュア抹茶)とはにまとめています。
玄米茶ラテとほかのメニュー:公式レシピの比較
茶の会社が公開している玄米茶のレシピは、茶葉を熱湯で淹れるものが中心です。編集部が一保堂茶舗など日本の茶の会社の公式サイトで探した範囲では、玄米茶パウダーで作るラテのレシピは見つかりませんでした(2026年10月時点)。
公式レシピの比較
| 一保堂茶舗(ホット) | 一保堂茶舗(アイス) | Yamamotoyama U.S.A.(ラテ・2杯分) | |
|---|---|---|---|
| 茶葉 | 10g(大さじ2杯) | 10g(大さじ2杯) | 大さじ1 |
| お湯 | 100℃のお湯240mL | 100℃のお湯240mL | 熱湯1カップ |
| 時間 | 30秒 | 60秒 | 1分 |
| 仕上げ | そのまま注ぐ | たっぷりの氷に注ぐ | 泡立てたミルク1カップ、玄米シロップか黒糖1/4カップ |
一保堂茶舗は、香りを立たせるために、よく沸いた熱湯を使うよう勧めています。アイスでは、ホットと同じ量の茶葉とお湯で、時間を倍の60秒にしています。Yamamotoyama U.S.A.は、1690年に江戸で茶の店を開いた山本家の9代目、山本嘉兵衛が1975年にロサンゼルスで設立した会社です。淹れた玄米茶に甘味を溶かしてカップの半分まで注ぎ、泡立てたミルクで満たして、上に粉の玄米茶をふります。
店の基準の決め方(編集部の考え方)
- 茶葉なら、一保堂茶舗のアイスの淹れ方(10g・240mL・60秒)のように、量と時間をまず公式のとおりにする
- ラテは、淹れた玄米茶とミルクの割合を、Yamamotoyama U.S.A.の1対1から試し、香りが残る割合を探す
- パウダーを使う場合は、仕入れ先が勧める1杯の量から始める
- 決めた量をgとmLで書き、スタッフ全員が同じ量で作る
抹茶ラテと並べるなら、抹茶の量の決め方はカフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方に、氷に注ぐときの手順はアイス抹茶ラテの作り方にまとめています。
カフェで仕入れるときに確かめること
玄米茶を仕入れるときは、原材料の並び・米・抹茶の有無・粉の種類・アレルギー表示・ロットの6つを確かめます。表示基準が決めているのは炒った米を加えることだけで、茶葉と米の割合や米の種類、炒り方は商品ごとに違うためです。
確かめる6つのこと
| 項目 | 確かめること | 理由 |
|---|---|---|
| 原材料の並び | 茶と米のどちらが先に書かれているか、茶葉と米の割合 | 重量の多い順に書く決まりで、割合の数字は書かれない |
| 米 | もち米・うるち米・玄米のどれか、炒り方、産地 | 表示基準は「炒った米」とだけ決めていて、中身は商品ごとに違う |
| 抹茶の有無 | 名称・商品名・仕様書に抹茶とあるか、抹茶の割合 | 原材料名は「茶」か「緑茶」と書く決まりで、原材料の欄だけでは抹茶の有無が分からないことがある |
| 粉の種類 | 挽いた粉かインスタントか、砂糖などが入るか | 味の濃さと甘さの調整のしかたが変わる |
| アレルギー表示 | 米以外の原材料、同じ工場で作るほかの製品の注意書き | 表示基準は、米のほかにあられなども茶に混ぜられる原材料としている |
| ロット | ロット番号と、ロットごとの色と香りの確かめ方 | 成分表も、茶は上級品と下級品で成分がかなり違うとしている |
米とアレルギー表示
日本の食物アレルギー表示では、米は表示の対象に入っていません。消費者庁によると、令和8年4月時点で、表示が義務の特定原材料は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です。表示が推奨される特定原材料に準ずるものは20品目で、ここにも米はありません。
消費者庁は、原材料に使っていない食品でも、製造ラインの洗浄などの対策をしてなお混ざる可能性が排除できない場合は、注意書きを入れるよう勧めています。仕入れ先には、仕様書と一緒にアレルギーの情報も出してもらいます。表示の決まりは国ごとに違うので、シンガポールで売る場合はシンガポールに抹茶を輸入するにはも参考に、売る国の基準で確かめます。
比べ方
サンプルを2〜3種類もらい、同じ量の茶葉、同じお湯、同じ時間で淹れて並べます。ラテにするなら、同じミルクで作って、米の香りがミルクに負けないかを見ます。仕入れ先の選び方は抹茶を卸で仕入れる方法にまとめています。
玄米茶の保存のしかた
玄米茶も、高温・多湿・移り香(ほかのにおいが移ること)を避けて保存します。日本茶業中央会の表示基準の表示例でも、緑茶の保存方法は「高温多湿を避け、移り香にご注意下さい」です。
茶の会社の表示
- 一保堂茶舗:極上玄米茶の賞味期間は180日(開封前)
- 一保堂茶舗(英語のサイト):玄米茶の保存の目安を「Consume quickly(早めに飲む)」としている
開けた袋は密閉できる容器に移し、エスプレッソマシンなど熱の出る機械から離して置きます(編集部の考え方)。暑くて湿気の多い国の店での置き方と、冷やしたときの戻し方はほうじ茶とはの保存の章に、温度ごとの保存試験は抹茶の場合を抹茶の賞味期限にまとめています。
Omakase Matchaは、ほうじ茶・玄米茶の粉末も今後扱う予定です。いま扱っている抹茶はカタログで、等級の考え方は抹茶の等級で見られます。言葉の意味は抹茶の用語集にまとめています。
参考にした情報
- 日本茶業中央会「緑茶の表示基準」(2026年7月10日最終改正) https://www.nihon-cha.or.jp/pdf/hyoujikijyun.pdf
- 文部科学省 食品成分データベース「玄米茶 浸出液」(食品番号16041) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16041_7
- 文部科学省 食品成分データベース「ほうじ茶 浸出液」(食品番号16040) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16040_7
- 文部科学省 食品成分データベース「番茶 浸出液」(食品番号16039) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16039_7
- 文部科学省 食品成分データベース「せん茶 浸出液」(食品番号16037) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16037_7
- 文部科学省 食品成分データベース「玉露 浸出液」(食品番号16034) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16034_7
- 文部科学省 食品成分データベース「抹茶 茶」(食品番号16035) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16035_7
- 農林水産省「茶をめぐる情勢(令和8年10月)」 https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/attach/pdf/ocha-201.pdf
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 消費者庁「アレルギー表示とは」(令和8年4月時点) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_260401_01.pdf
- 京都府茶業研究所「お茶のおいしい入れ方 抹茶」 https://www.pref.kyoto.jp/chaken/irekata_maccha.html
- 一保堂茶舗「極上玄米茶 100g袋」 https://www.ippodo-tea.co.jp/products/bancha606612
- 一保堂茶舗「基本の番茶類(ほうじ茶・玄米茶など)」 https://www.ippodo-tea.co.jp/blogs/tea-recipe/基本の番茶類-ほうじ茶-玄米茶等
- 一保堂茶舗「Genmaicha (100g Bag)」 https://ippodotea.com/products/gokujo-genmaicha
- Yamamotoyama U.S.A.「GENMAICHA LATTES」 https://yamamotoyama.com/blogs/recipes/genmaicha-lattes
- Yamamotoyama U.S.A.「About Us」 https://yamamotoyama.com/pages/about-us
























































































