抹茶ミルクティーは、タピオカを入れて「抹茶ボバ」「抹茶バブルティー」として出されることが多いメニューです。抹茶だけの粉を使うか、砂糖やクリーマーの入った粉を使うかで、配合も糖分も変わります。材料メーカーと抹茶の会社の公式情報で比べます。
抹茶ミルクティー・抹茶ボバとは
抹茶ミルクティーは、抹茶にミルクか粉末のクリーマー(植物油脂などで作る粉のミルクの代わり)と甘味を合わせ、タピオカなどのトッピングを加える飲み物です。抹茶ラテとの線引きに決まった定義はありません。
辞書の定義と呼び名
Cambridge Dictionaryは、バブルティーを「東アジア発祥の、茶にミルクか果物の味を合わせ、タピオカかゼリーの小さな玉を加えた飲み物」とし、振って泡を立てると説明しています。ボバはその玉のことです。米国の抹茶会社Chalaitは、今はトッピングを入れるのが当たり前で、トッピングのないものは「matcha tea with milk」と呼ばれることが多いとしています。タイ語では「ชานมไข่มุก」(ミルクティーに真珠)と呼びます。
抹茶ラテと違うところ
公式レシピでは、抹茶ラテとの違いはトッピング、シェイカーで振る作り方、甘味入りの粉やクリーマーを使う配合です。ただし、タピオカ入りを「Matcha Latte」と呼ぶメーカーのレシピもあります。ミルクと抹茶だけの作り方はアイス抹茶ラテの作り方にまとめています。
公式レシピの配合を比べる
抹茶だけの粉を使うレシピでは、1杯の抹茶は2〜7gです。甘味とクリーマーの入った粉は1杯に36gを使い、配合の考え方が別になります。
5つの公式レシピの比較
| 出典 | 粉と量 | 溶かす液体 | ミルク・クリーマー | 甘味 | タピオカ・氷 |
|---|---|---|---|---|---|
| Bossen(米国のバブルティー材料メーカー)Uji Matcha(日本産) | 抹茶5g | 湯60ml、泡立てる | スチームミルク5oz(約150ml) | 果糖25ml(はちみつも可) | タピオカ |
| Bossen Pure(緑茶の粉のみ、台湾産) | 7g(濃くするなら10g) | 湯100ml、氷で冷やす | クリーマー40gを湯100mlで溶き、氷で冷やす(全乳でも可) | 好みで | 氷。混ぜずに注いで出す |
| Bossen Premium(砂糖・クリーマー入り、台湾産)16oz | 粉36g | 湯150ml | クリーマー20g | 果糖30ml | 氷をシェイカーいっぱいに入れて振る |
| Chalait(米国の抹茶会社) | 抹茶小さじ1/2 | 80℃(176°F)の湯2oz(約60ml)、冷水5oz(約150ml) | half-and-half(牛乳と生クリームを半々にしたもの)大さじ1 | はちみつ小さじ1 | タピオカ、グラス1杯の氷 |
| Pure Matcha(オーストラリアの抹茶会社) | 抹茶2g | 湯(量の記載なし) | オーツミルク3/4カップ | メープルシロップ20ml | タピオカ1/4カップ(乾燥時) |
Bossenは、タピオカの量を16oz(約470ml)の飲み物で60〜80gとしています。
表から分かること
抹茶だけの粉は、2gから7gまで3倍以上の差があります。Chalaitは湯と冷水で薄めた抹茶にミルクを大さじ1だけ足す配合で、ミルクがずっと少なめです。抹茶だけの粉は、どのレシピも先に湯で溶いています。甘味入りの粉は、湯で溶かしてからシェイカーで氷と振ります。甘味入りの粉は中の抹茶のg数が書かれていないため、抹茶の濃さとカフェインを店で計算できません。
店の基準の決め方(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。抹茶だけの粉なら、抹茶3gと5gの2通りで、ミルク150〜200ml、甘味20〜30mlを試し、タピオカの甘さも足した状態で味を決めます。配合はすべてgかmlでレシピカードに書きます。注文ごとに溶くのが難しい店は抹茶シロップを作り置きする方法もあります。
「抹茶」の粉の中身を確かめる
バブルティー用の「抹茶」の粉には、砂糖とクリーマーを混ぜたミックスがあります。仕入れる前に、原材料の並びと原産国を見ます。
甘味入りのミックスの原材料
BossenのPremium Matcha Green Tea Powderは、砂糖とクリーマーを混ぜた粉です。原材料の表示は、ブドウ糖、植物性のクリーマー(水あめ、硬化植物油脂、カゼインナトリウムなど)、抹茶、緑茶の香料、着色料(黄色5号、青色1号)の順で、原産国は台湾です。米国の食品表示の規則(21 CFR 101.4)では、原材料は重量の多い順に書きます。
出典: Bossen「Matcha Green Tea Powder, PREMIUM」 https://www.bossenstore.com/products/premium-matcha-green-tea-powder
抹茶だけの粉と、日本の表示基準
同じBossenでも、「Pure」は原材料が緑茶の粉だけ(原産国:台湾)、「Premium Japanese Uji Matcha」は日本産の抹茶100%(原産国:日本)と書かれています。日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」では、抹茶は碾茶(てんちゃ:抹茶の原料になる、揉まずに乾かした茶葉)を茶臼などで粉にしたものです。見分け方はPure matcha(ピュア抹茶)とはにまとめています。
ここからは編集部の考え方です。「日本の抹茶」とメニューに書くなら、原産国が日本で、原材料が抹茶だけの粉を使います。
タピオカの茹で方と保持
タピオカは製品ごとに茹で時間が違うため、袋の表示どおりに茹でます。茹でたあとの時間と保管は、どれもメーカーが示す品質の目安です。
メーカーの茹で方
| 製品 | タピオカ:水 | 茹で時間 | 蒸らし | そのあと |
|---|---|---|---|---|
| Bossen 大粒のタピオカ(ブログ) | 1:6 | 弱めの中火で30分 | ふたをして35分 | 冷水で洗い、甘味に15分漬ける |
| Bossen 小粒のタピオカ(ブログ) | 記載なし | 10分 | 5分 | 記載なし |
| Bossen Express Cook Big Tapioca(速く茹でられる大粒) | 1:10 | 浮くまで2分混ぜ、ふたを少し開けて25分 | ふたをして5分 | 冷水で1〜2分洗い、はちみつか果糖か砂糖で甘くする |
蒸らすのは、大粒の中心まで火を通すためだとBossenは説明しています。仕入れを替えたら、袋の表示で茹で時間を決め直します。
メーカーが示す保持の目安
| 場面 | Bossenの案内 |
|---|---|
| 茹でたあと | 4時間以内に使う |
| まとめて茹でた分 | シロップに入れて常温で置き、数時間おいしく保つ |
| 冷蔵 | 食感を保つため冷蔵しない。必要なら温かいシロップで温め直す |
| 開封した生のタピオカ | 袋をきちんと閉じ、48時間以内に使う |
| 注意書き | 5歳未満の子どもに与えない。中の脱酸素剤は食べられない |
茹でる回数の決め方(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。4時間で使い切れる量を、1日の売れ方から逆算して茹でます。茹でた時刻を容器に書き、4時間を過ぎたものは出さない決まりを作っておくと、スタッフが替わっても同じ扱いになります。
甘さの段階と糖分の表示
タピオカミルクティーは、飲み物の甘味に加えてタピオカでも糖分が増えます。シンガポールではトッピングの糖分も表示が必要です。
香港の調査:タピオカも糖分のもと
香港の食物安全センター(政府の食品安全の部署)と消費者委員会が2018年5〜7月に店から集めたお茶の飲み物を調べたところ、パールミルクティー(タピオカミルクティー)は平均520gで、糖分は100gあたり平均5.0g、1杯で平均26gでした。100gあたりのエネルギーは平均78kcalで、調べた8種類の中で最も高い値でした。「無糖」で頼んだものは、100gあたり平均2.2g、1杯で平均11gでした。
出典: 香港食物安全センター「Sugar and Energy Contents of Common Non-Indigenous Tea-Based Beverages in Hong Kong」 https://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_rafs/programme_rafs_n_01_26_abstract.html
報告は業者に、無糖の緑茶粉末を使って客が甘さを選べるようにすること、クリーマーの代わりに脱脂乳も選べるようにすること、250mLのサイズ、計量スプーンで砂糖を量ること、メニューへの糖分とエネルギーの記載を勧めています。編集部の考え方としては、甘さの段階を作るなら、甘味は抹茶と別に入れ、計量して足す形にします。
シンガポールのNutri-Grade
シンガポール保健省(MOH)と保健促進局(HPB)によると、2023年12月30日から、店で作る飲み物も糖分と飽和脂肪の量で等級を付ける「Nutri-Grade」の対象で、CかDの飲み物はメニューの横に表示が必要です。年商100万シンガポールドル以下で、10店未満で売る小規模な事業者には、当面この表示を求めない措置があります。パール、ゼリー、アイスクリーム、ホイップクリームなど、飲み物に足せるトッピングは、糖分をメニューなどに書く必要があります。
タイの「หวานปกติ = หวาน 50%」
タイ保健省の広報局は2026年7月1日の記事で、保健省の事務次官が、甘さ・脂・塩を控えたメニューを増やすことと並べて、「หวานปกติ = หวาน 50%」(ふつうの甘さ=甘さ50%)を食品・飲料の事業者と一緒に進めると話したと伝えています。開始日や対象の店は、この記事には書かれていません。なお、タイ保健省の保健局は2026年2月11日にこの基準の開始を宣言し、タイコーヒー協会と7社9ブランドが、全国で甘さの配合を基準に合わせる意向を示しています。
カフェインと1杯の原価
1杯のカフェインと抹茶代は、どちらも使う抹茶のg数で決まります。
1杯のカフェイン
文部科学省の日本食品標準成分表では、抹茶のカフェインは100gあたり3.2g(1gあたり約32mg)です。表の配合では、2gで64mg、5gで160mg、7gで224mg、10gで320mgです。甘味入りの粉は、数値をメーカーに確かめます。比較は抹茶のカフェインにまとめています。
原価の計算式
抹茶代は「使う抹茶のg数 × 1kgあたりの仕入れ値 ÷ 1,000」です。ミルクと甘味は「使う量 × 1mlか1gあたりの値段」で足し、カップ・ふた・太いストロー・シールの代金を加えます。タピオカは4時間を過ぎて捨てる分があるため、1日に茹でた量を売れた杯数で割って出し直すと、実際の原価に近づきます。抹茶の値段は抹茶の値段はどう決まるのか、等級はカフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方にまとめています。
メニューの書き方(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。メニューには「抹茶ミルクティー」「Matcha Boba」のような名前を使い、甘さの段階、タピオカの有無、植物性ミルクへの変更を選べるようにします。黒糖シロップなどを足す場合も、その量を糖分の計算に入れます。泡をのせるなら抹茶のコールドフォームを参考にします。
参考にした情報
- Cambridge Dictionary「bubble tea」 https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/bubble-tea
- Cambridge Dictionary「boba」 https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/boba
- Cambridge Dictionary「latte」 https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/latte
- Chalait「How to Make Matcha Milk Tea」 https://www.chalait.com/blogs/matcha-recipes/how-to-make-matcha-milk-tea
- Pure Matcha「Matcha Bubble Tea Recipe」 https://purematcha.com.au/blogs/matcha-recipes/matcha-bubble-tea-recipe
- Bossen「Premium Japanese Uji Matcha Powder」 https://www.bossenstore.com/products/japanese-uji-matcha-powder
- Bossen「Matcha Green Tea Powder, Pure」 https://www.bossenstore.com/products/matcha-green-tea-powder-pure
- Bossen「Matcha Green Tea Powder, PREMIUM」 https://www.bossenstore.com/products/premium-matcha-green-tea-powder
- Bossen「Express Cook Big Tapioca」 https://www.bossenstore.com/products/express-cook-big-tapioca
- Bossen「Perfect Tapioca Pearls: Easy Recipe for Bubble Tea Shops」(2024年10月10日) https://www.bossenstore.com/blogs/bossen-blog/15162297-tapioca-pearl-recipe-how-to-make-boba
- 香港食物安全センター・消費者委員会「Sugar and Energy Contents of Common Non-Indigenous Tea-Based Beverages in Hong Kong」(2019年2月) https://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_rafs/programme_rafs_n_01_26_abstract.html
- シンガポール保健省(MOH)「Implementation of Nutri-Grade requirements for freshly prepared beverages from 30 December 2023」 https://www.moh.gov.sg/newsroom/implementation-of-nutri-grade-requirements-for-freshly-prepared-beverages-from-30-december-2023/
- シンガポール保健促進局(HPB)「Measures for Nutri-Grade」 https://hpb.gov.sg/healthy-living/food-beverage/nutri-grade
- タイ保健省 広報局(2026年7月1日) https://pr.moph.go.th/online/index/news/343881
- タイ保健省 保健局(2026年2月11日) https://multimedia.anamai.moph.go.th/news/1102692/
- U.S. Code of Federal Regulations「21 CFR 101.4 Food; designation of ingredients」 https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-B/part-101/subpart-A/section-101.4
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
- 日本茶業中央会「緑茶の表示基準」 https://www.nihon-cha.or.jp/pdf/hyoujikijyun.pdf
























































































