抹茶ラテを出していると、「カフェインはどれくらい入っていますか」と聞かれることがあります。抹茶は粉ごと飲むお茶なので、カフェインの量は1杯に使う抹茶のグラム数でほぼ決まります。日本の食品成分表の値から1杯ずつ計算し、コーヒーやほかのお茶と同じ表で並べると、お店のメニューの量で答えられるようになります。
抹茶にカフェインは入っているか
抹茶にはカフェインが入っていて、日本食品標準成分表では100gあたり3.2gです。粉を溶かして葉ごと飲むため、使った量のカフェインをそのまま口にします。
成分表の値
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(以下、成分表)によると、抹茶(茶)のカフェインは100gあたり3.2gです。1gあたりに直すと32mgになります。
成分表は、茶は上級品と下級品で成分がかなり違うとしたうえで、主に中級品を分析しています。等級によって値は変わるため、以下の計算値は目安です。
食品安全委員会も1杯で計算している
内閣府の食品安全委員会のファクトシート「食品中のカフェイン」は、抹茶1杯を抹茶1.5gとして、カフェインを48mgと示しています。抹茶のカフェイン3.2g/100gも並べて書かれていて、1.5gに1gあたり32mgを掛けると48mgになります。以下の計算も同じ方法です。
抹茶1杯のカフェイン:薄茶・ラテ・濃茶で計算
1杯のカフェインは、薄茶2gで64mg、抹茶ラテ3gで96mg、濃茶4gで128mgです(成分表の値から計算)。同じ「抹茶1杯」でも、使う量で2倍以上の差が出ます。
量ごとの計算値
抹茶の量は、公的機関と京都の老舗の点て方からとりました。
| 1杯の種類 | 抹茶の量 | カフェイン(計算) | 量の出典 |
|---|---|---|---|
| 薄茶(少なめ) | 1.5g | 48mg | 食品安全委員会 |
| 薄茶 | 約2g(お湯70mL) | 64mg | 京都府茶業研究所 |
| 抹茶ラテ | 3g(お湯90ml+ミルク) | 96mg | 一保堂茶舗 |
| 濃茶 | 4g(お湯30ml) | 128mg | 一保堂茶舗 |
計算は「抹茶のグラム数 × 32mg」です。お店の1杯が2.5gなら80mg、5gなら160mgになります。
お湯やミルクの量では変わらない
抹茶ラテのカフェインは、ミルクやお湯をどれだけ足しても、抹茶の量が同じなら変わりません。カップを大きくして抹茶を増やすと、その分だけ増えます。薄茶と濃茶の違いや点て方は抹茶の点て方にまとめています。
コーヒー・紅茶・煎茶・玉露・ほうじ茶と比べる
成分表の浸出液100gあたりで比べると、玉露160mg、コーヒー60mg、紅茶30mg、煎茶とほうじ茶が20mgです。抹茶2gの64mg(計算)は、コーヒーの浸出液約107g分にあたります。
浸出液100gあたりの値
成分表は、茶やコーヒーの浸出液を決まった淹れ方で作って分析しています。淹れ方が変われば値も変わるため、淹れ方も並べます。
| 飲み物 | カフェイン(浸出液100gあたり) | 成分表の淹れ方 |
|---|---|---|
| 玉露 | 160mg | 茶10gに60℃のお湯60mL、2.5分 |
| コーヒー | 60mg | コーヒー粉末10gに熱湯150mL |
| 紅茶 | 30mg | 茶5gに熱湯360mL、1.5〜4分 |
| 煎茶 | 20mg | 茶10gに90℃のお湯430mL、1分 |
| ほうじ茶 | 20mg | 茶15gに90℃のお湯650mL、0.5分 |
| ウーロン茶 | 20mg | 茶15gに90℃のお湯650mL、0.5分 |
| 番茶 | 10mg | 茶15gに90℃のお湯650mL、0.5分 |
出典: 食品安全委員会 ファクトシート「食品中のカフェイン」 https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
玉露は少ないお湯で淹れるので濃い
玉露の160mgは、茶葉10gに60mLという少ないお湯で淹れた値です。煎茶は茶葉10gに430mL、ほうじ茶は茶葉15gに650mLと、茶葉に対して多めのお湯で淹れた値です。浸出液どうしを比べるときは、淹れ方の違いも合わせて見ます。
抹茶は量を決めれば計算できる
浸出液は茶葉の量・お湯の温度・時間で出てくるカフェインが変わります。抹茶は粉ごと飲むので、グラム数を決めれば計算でカフェインが分かります。抹茶と煎茶の成分の違いは抹茶と緑茶(煎茶)の違いで詳しく比べています。
抹茶ラテ・エナジードリンクと比べる
抹茶3gの抹茶ラテは計算で96mgで、エナジードリンクは1本36〜150mgと製品によって大きく違います。どちらも1杯(1本)に入る量で比べると分かりやすくなります。
エナジードリンクの値
食品安全委員会のファクトシートでは、エナジードリンクや眠気覚まし用の飲料のカフェインは100mlあたり32〜300mg、1本あたり36〜150mgです。缶や瓶1本で、コーヒー2杯分に相当するカフェインを含むものもあるとしています。
米国食品医薬品局(FDA)は、12液量オンス(約355ml)あたりで、エナジードリンクを41〜246mg、レギュラーのコーヒーを113〜247mg、緑茶を37mgとしています。
1杯ずつ並べると
| 飲み物 | カフェイン | 出典 |
|---|---|---|
| 薄茶(抹茶2g) | 64mg(計算) | 成分表、京都府茶業研究所 |
| 抹茶ラテ(抹茶3g) | 96mg(計算) | 成分表、一保堂茶舗 |
| 濃茶(抹茶4g) | 128mg(計算) | 成分表、一保堂茶舗 |
| エナジードリンク 1本 | 36〜150mg | 食品安全委員会 |
| コーヒー 237ml | 135mg(平均) | カナダ保健省 |
| 紅茶・緑茶 237ml | 30〜50mg | カナダ保健省 |
カナダ保健省の値は、ふつうに淹れたコーヒーとお茶の平均の量です。大きいカップで抹茶を増やした抹茶ラテは、エナジードリンク1本と同じくらいのカフェインになることがあります。ラテの配合はカフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方にまとめています。
1日の摂取量の目安:各国の公的機関の値
欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人は1日400mgまで、妊娠中・授乳中は1日200mgまでのカフェインなら健康上の懸念はないとしています。日本ではカフェインの摂取許容量は設定されていません。
公的機関の値
| 機関 | 健康な成人 | 妊娠中・授乳中 | 子供・青少年 |
|---|---|---|---|
| 欧州食品安全機関(EFSA) | 1日400mgまで。1回200mgまで | 1日200mgまで | 1日に体重1kgあたり3mg |
| カナダ保健省 | 1日400mgまで | 1日300mgまで(妊娠を計画中も同じ) | 1日に体重1kgあたり2.5mgまで |
| 米国食品医薬品局(FDA) | 1日400mgは、多くの成人で悪い影響と一般に結びつかない量 | 制限が必要か医療者に相談 | 2歳未満はカフェインを含む飲み物を避ける(米国の食事ガイドラインとして紹介) |
| シンガポール保健省 | カフェイン摂取の公認された健康上の目安は現在ない(年齢を限らない記述) | 記載なし | 12歳未満は避ける。12〜18歳は1日100mgまで |
| 日本(厚生労働省) | 摂取許容量は設定されていない | ― | ― |
シンガポールの値は、2026年10月8日の国会答弁で保健省が示した国内の小児科の助言です。保健省は、12〜18歳の100mgはコーヒー約1杯にあたるとしています。
出典: シンガポール保健省「Protecting children and youths from caffeine overconsumption through mandatory labelling, health warnings and published consumption guidelines」(2026年10月8日) https://www.moh.gov.sg/newsroom/protecting-children-and-youths-from-caffeine-overconsumption-through-mandatory-labelling--health-warnings-and-published-consumption-guidelines/
目安は全部の飲食物の合計
どの機関の値も、コーヒー・お茶・チョコレートなど、1日に取るすべてのカフェインの合計です。抹茶だけで何杯まで、という基準ではありません。
食品安全委員会は、カフェインへの感受性は人による差が大きいとしています。妊娠中の人や子供など、個別の判断が必要な場合は医師などの専門家に確かめるよう、お客さんに伝えるのが確実です。
抹茶のカフェインの量が変わる理由
抹茶のカフェインは、1杯に使うグラム数と、抹茶そのものの等級や茶期で変わります。ここで示した計算値は、成分表の中級品の値に基づく目安です。
使う量
計算では、カフェインは1杯に使う抹茶の量に比例して増えます。スプーンで量ると1杯ごとにぶれるため、カフェではgで量っておくと、カフェインも計算でそろえられます。
等級と茶期
成分表は、茶は上級品と下級品で成分がかなり違うとしています。鹿児島県の南九州市は、知覧茶の二番茶について、一番茶より日照時間の長い時期に育つため、カテキンやカフェインを多く含むと説明しています。ラテに二番茶以降の抹茶を使うなら、成分表の値と差が出ることがあります。等級ごとの違いは抹茶のグレードの違いにまとめています。
正確な値が必要なら、仕入れ先に分析値を出してもらうか、検査機関に依頼します。
テアニンとカフェイン:研究で分かっていること
この記事で確かめた2つの試験は、テアニンがカフェインの働きを和らげるかを調べたものではありません。カフェインとテアニンを一緒にとった試験と抹茶の試験はありますが、人数が少なく、結果も限られています。
抹茶は煎茶よりテアニンが多い
農研機構によると、抹茶は煎茶に比べて、旨味のもとになるテアニンなどのアミノ酸が多いお茶です。テアニンは、成分表の項目には入っていません。
カフェインとテアニンを一緒にとった試験
食品会社ユニリーバの英国の研究開発拠点に所属する研究者らが2008年に発表した試験では、健康な27人が、カフェイン50mgだけ、カフェイン50mgとテアニン100mg、偽薬の3つを飲み比べました。カフェインとテアニンを一緒にとったときは、偽薬と比べて、60分後の注意を切り替える課題で速さと正確さが上がりました。
抹茶そのものの試験
オランダのワーヘニンゲン大学が2017年に発表した試験では、23人が抹茶4gの飲み物などと偽薬を比べました。抹茶をとった後は、基本的な注意力と反応の速さを見る課題で主に改善がみられた一方、ほかの課題ではほとんど差がなく、気分には有意な変化がありませんでした。研究者は、効果はわずかだとしています。
どちらも人数が少なく、1回飲んだ後の短い時間を見た試験です。メニューや店の説明では、テアニンの働きを断定する書き方を避けます。
カフェのメニューでのカフェイン表示
シンガポールとタイの公的な決まりや議論は、包装された飲料やカフェインの多い飲料が中心です。店で作る抹茶ラテのカフェインは、お店が1杯のグラム数から計算して答えられるようにしておくと安心です。
シンガポール
2026年10月の国会では、一定量を超える飲料にカフェインのmg表示と前面の注意表示を求めるかが質問されました。保健省は、国内の消費と海外の動きを注視し、リスク評価が変われば追加の措置も否定しないと答えています。高カフェインのエナジードリンクは、2017年以降、加糖飲料の売上の1%未満だとしています。
シンガポール保健促進局(HPB)によると、2023年12月30日から、決められた販売場所で売る店で作る飲み物も、糖分と飽和脂肪の表示「Nutri-Grade」の対象になっています。詳しくはストロベリー抹茶ラテの作り方で取り上げています。
タイ
タイ保健省の告示第356号(2013年)は、密封した容器に詰めた飲料の決まりです。天然にカフェインを含む香料を使った一部の飲料には「มีกาเฟอีน」(カフェインを含む)と表示し、そのほかのカフェインを加えた飲料には、1日2本(缶など)を超えて飲まないこと、子供と妊婦は飲まないことなどの注意を、赤い文字で白地の枠に入れて表示します。飲料の分類を決めた条項は、2025年の告示第465号で改められました。
店でできること(編集部の考え方)
表示の決まりとは別に、お客さんに聞かれたときに答えられるよう、次の3つを用意しておくと説明しやすくなります。
- メニューごとに、1杯に使う抹茶のグラム数を決める
- 「グラム数 × 32mg」で計算値を出し、計算値であることを添える
- カフェインを控えたい人向けに、抹茶を減らしたサイズや、ほかの飲み物を案内する
ボトルに詰めた抹茶ドリンクをタイで売る場合は、告示第356号の対象になるか、カフェインの表示が求められるかを、タイ食品医薬品局(Thai FDA)の告示本文で確かめます。アイスで作る手順はアイス抹茶ラテの作り方に、等級の考え方は抹茶の等級にまとめています。
参考にした情報
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
- 文部科学省 食品成分データベース「抹茶 茶」(食品番号16035) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16035_7
- 文部科学省 食品成分データベース「玉露 浸出液」(食品番号16034) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16034_7
- 文部科学省 食品成分データベース「せん茶 浸出液」(食品番号16037) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16037_7
- 文部科学省 食品成分データベース「番茶 浸出液」(食品番号16039) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16039_7
- 文部科学省 食品成分データベース「ほうじ茶 浸出液」(食品番号16040) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16040_7
- 文部科学省 食品成分データベース「ウーロン茶 浸出液」(食品番号16042) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16042_7
- 文部科学省 食品成分データベース「紅茶 浸出液」(食品番号16044) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16044_7
- 文部科学省 食品成分データベース「コーヒー 浸出液」(食品番号16045) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16045_7
- 食品安全委員会 ファクトシート「食品中のカフェイン」(2018年2月23日最終更新) https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
- 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
- European Food Safety Authority「Caffeine」 https://www.efsa.europa.eu/en/topics/topic/caffeine
- Health Canada「Caffeine in foods」 https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/food-safety/food-additives/caffeine-foods.html
- U.S. Food and Drug Administration「Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?」 https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/spilling-beans-how-much-caffeine-too-much
- シンガポール保健省「Protecting children and youths from caffeine overconsumption through mandatory labelling, health warnings and published consumption guidelines」(2026年10月8日) https://www.moh.gov.sg/newsroom/protecting-children-and-youths-from-caffeine-overconsumption-through-mandatory-labelling--health-warnings-and-published-consumption-guidelines/
- シンガポール保健促進局(HPB)「Measures for Nutri-Grade」 https://hpb.gov.sg/healthy-living/food-beverage/nutri-grade
- タイ保健省告示第356号(2013年)「密封容器入り飲料」(タイ食品医薬品局) https://exfood.fda.moph.go.th/law/data/complilation/Compi_356.pdf
- タイ保健省告示第465号(2025年)「密封容器入り飲料(第3号)」英訳(タイ食品医薬品局) https://food.fda.moph.go.th/media.php?id=861494046533754880&name=P465_EN.pdf
- 農研機構「国産抹茶の価格と化学成分含有量の関係」(2018年) https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/nifts18_s16.html
- Owen GN, Parnell H, De Bruin EA, Rycroft JA「The combined effects of L-theanine and caffeine on cognitive performance and mood」Nutritional Neuroscience 11(4):193-198, 2008 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18681988/
- Dietz C, Dekker M, Piqueras-Fiszman B「An intervention study on the effect of matcha tea, in drink and snack bar formats, on mood and cognitive performance」Food Research International 99:72-83, 2017 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28784536/
- 南九州市「二番茶・三番茶・四番茶・秋冬番茶」 https://www.city.minamikyushu.lg.jp/chirancha/ajiwau/chirancha_shurui/8903.html
- 京都府茶業研究所「お茶のおいしい入れ方 抹茶」 https://www.pref.kyoto.jp/chaken/irekata_maccha.html
- 一保堂茶舗「抹茶ラテ」 https://www.ippodo-tea.co.jp/blogs/tea-recipe/19抹茶ラテ
- 一保堂茶舗「Basic Koicha」 https://global.ippodo-tea.co.jp/blogs/tea-recipe/basic-koicha-matcha
























































































