ストロベリー抹茶ラテは、いちごのピンク、牛乳の白、抹茶の緑がグラスの中で層になる飲み物です。この記事では、茶や食品の会社が公開している公式レシピを並べて配合を比べ、店で毎日出すためのいちごソースの仕込み、衛生、原価の計算までを見ていきます。
ストロベリー抹茶ラテとは
ストロベリー抹茶ラテは、いちごのピューレ(果物をすりつぶしたもの)をグラスの底に入れ、牛乳と抹茶を重ねた冷たいラテです。抹茶ラテの配合に、いちごと甘さを足して作ります。
抹茶ラテとの違い
違いは、いちごの酸味と甘さが加わることです。抹茶の量やミルクの選び方は抹茶ラテと同じ考え方で決められるため、基本の配合と抹茶の等級はカフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方を先に見ておくと、比べやすくなります。
使う抹茶
いちごとミルクに負けずに色と味が残る、ラテ向けの抹茶を使います。等級の呼び名は売る会社ごとに違うため、名前より茶期(一番茶か二番茶以降か)と挽き方を確かめます。等級ごとの違いは抹茶の等級にまとめています。
公式レシピの配合を比べる
公開されている6社の公式レシピのうち、抹茶をグラムで示した4社では1杯1〜5gと幅があり、アイスの5本はすべて抹茶を最後に上からのせていました。分量の単位もグラム、小さじ、カップと会社ごとに違うため、店で使うときはグラムに置き直します。
基本になる抹茶ラテ
いちごを入れない抹茶ラテの公的なレシピとして、日本の農林水産省は広報誌で、抹茶ティースプーン1杯、湯約20ml、牛乳100ml、砂糖3gの配合を紹介しています。京都の老舗の一保堂茶舗の公式レシピは、抹茶3gを80℃の湯100mlで溶き、牛乳100mlを加えます。
出典: 農林水産省 aff 2017年4月号「特集2 抹茶(2)」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1704/spe2_02.html
6社の公式レシピの比較
茶や食品の会社が自社のサイトで公開しているストロベリー抹茶ラテのレシピを並べると、次のとおりです。
| 会社(国・業種) | 杯数 | 抹茶 | 湯(水) | ミルク | いちご | 甘味 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Paper & Tea(ドイツ・茶の専門店) | 1杯 | 2g | 70℃の湯20ml | 140ml | 100gをピューレに | 記載なし |
| La Via del Tè(イタリア・茶の会社) | 1杯 | 2g | 湯(量・温度の記載なし) | 200ml | 冷凍いちご5〜6個をピューレに | 砂糖小さじ1 |
| Japanese Taste(日本の食品の通販) | 1杯 | 砂糖入りの抹茶5g | 約80℃の湯50ml | 100ml | 70gをつぶす | 砂糖10g |
| Domino Sugar(米国・砂糖メーカー) | 2杯 | 小さじ2 | 冷水3オンス(約89ml) | 12オンス(約355ml) | 1カップをピューレに | ゴールデンシュガー1/3カップ |
| ArtfulTea(米国・茶の専門店) | 1杯 | 小さじ1 | 180°F(約82℃)の湯2オンス(約59ml) | 1カップ(約237ml) | 2カップを煮て漉したソースから大さじ3 | ソース全量にメープルシロップ大さじ2 |
| Grind(英国・コーヒーの会社) | 1杯(ホット) | 1g | 沸騰させない湯50ml | 150ml | 2〜3個を甘味料と温めてシロップに | 小さじ1 |
Grindだけがホットで、ほかの5社はアイスです。Japanese Tasteが使う抹茶には、てん菜糖が少し入っています。Domino Sugarは抹茶を冷水で溶いています。湯の温度を書いている3社は、70℃から約82℃でした。
表から分かること
いちごをグラムで示しているのはPaper & Tea(100g)とJapanese Taste(70g)の2社で、ほかは個数やカップで示しています。店で毎日同じ味を出すなら、抹茶もいちごもグラムで量り直しておく必要があります。ここからは編集部の考え方です。抹茶の量は、いちごの酸味とミルクの量に対して味が残るかで決まります。まず2gで作り、いちごに負けると感じたら0.5gずつ増やして、店のカップの大きさに合う量を決めます。
いちごピューレ・ソースの作り方
いちごの準備の仕方は、生のままつぶす、ミキサーでピューレにする、煮て漉す、の3通りです。公式レシピでは、Japanese Tasteがいちごをつぶし、Paper & Tea、La Via del Tè、Domino Sugarがピューレに、ArtfulTeaとGrindが火にかけています。
生のいちごを使う
生のいちごをつぶすと、粒と香りが残ります。Japanese Tasteはいちご70gに砂糖10gを混ぜ、いちごの酸っぱさに合わせて砂糖を加減するとしています。粒が残るため、編集部では太めのストローを添えることをおすすめしています。
煮て漉す
ArtfulTeaは、いちご2カップ、メープルシロップ大さじ2、レモン汁小さじ1を弱めの中火で柔らかくなるまで煮て、漉してから完全に冷ましています。編集部では、漉したソースは粒が残らず、1杯ずつ同じ量を注ぎやすいため、まとめて仕込みたい店に向くと考えています。
冷凍いちごを使う
La Via del Tèは冷凍いちごと砂糖をなめらかになるまで撹拌しています。冷凍いちごは季節を問わず同じ味で仕入れやすい一方で、衛生上の注意があります。注意点は、後の「作り置きと衛生」で見ていきます。
抹茶の層の作り方
層をきれいに分けるには、いちご、氷、牛乳、抹茶の順に重ね、抹茶は少ない湯で濃く溶いて最後に注ぎます。アイスの公式レシピ5本は、いずれも抹茶を最後に上からのせていました。
重ねる順番
Paper & Teaは、グラスにいちごのピューレを入れ、牛乳と氷を足し、最後に抹茶を加えます。La Via del Tèは、ピューレを底に入れて平らにならし、氷を静かにのせ、氷に直接当てるように細く注ぎ、抹茶の層をのせるとしています。ここからは編集部の考え方です。牛乳も氷に当てるように静かに注ぐと、勢いで下のいちごと混ざりにくくなります。
抹茶は少ない湯で濃く溶く
抹茶を溶く湯は、Paper & Teaが70℃で20ml、Japanese Tasteが約80℃で50mlです。Grindは、沸騰した湯は抹茶を焦がすため使わないとしています。湯を少なくするほど抹茶の層が濃く、薄まりにくくなります。抹茶をふるってダマを防ぐ方法と、茶筅の動かし方は抹茶の点て方に、いちごを入れないアイスの配合と2層の注ぎ方はアイス抹茶ラテの作り方にまとめています。
ミルクを変える
公式レシピでも、牛乳の代わりにアーモンドミルクやオーツミルクを使えるとするものがあります。ミルクによって甘さと色の見え方が変わるため、オーツミルクで出す場合はオーツミルクラテに合う抹茶の選び方も見ておくと、抹茶の量を決め直しやすくなります。
甘さの調整
編集部では、甘さはいちごのソースで決め、抹茶の側は砂糖を入れずに溶く作り方をおすすめしています。甘さの段階を変えるときに、ソースの量だけを見ればよいためです。公式レシピの甘味は、記載なしから砂糖10gまで幅があります。
いちごの甘さで加減する
Japanese Tasteは、いちごの酸っぱさに合わせて砂糖を加減するとしています。同じ量の砂糖でも、いちごの熟し方で甘さの感じ方が変わります。ここからは編集部の考え方です。ソースは甘さを抑えめに仕込み、注文に応じてシロップを足すようにすると、甘さの段階をつけても仕込みは1種類で済みます。
糖分の目安
世界保健機関(WHO)は2015年、砂糖やシロップ、果汁などに含まれる遊離糖類を、1日の総エネルギーの10%未満に減らすよう勧めました。5%未満、約25g(小さじ6杯)まで減らすと、さらに健康上の利点があるとしています。甘いソースと砂糖を両方入れると、1杯で糖分が多くなりやすいため、甘味はソースかシロップのどちらか1か所で加えます。
シンガポールで出す場合
シンガポールでは2023年12月30日から、店で作る飲み物も糖分と飽和脂肪の表示「Nutri-Grade」の対象になりました。シンガポール保健促進局(HPB)によると、評価は糖分と飽和脂肪の量で決まり、CとDの評価の飲み物はメニューの横にマークを表示します。AとBの表示は任意です。トッピングの糖分も、メニューなどに表示します。
出典: シンガポール保健促進局(HPB)「Measures for Nutri-Grade」 https://hpb.gov.sg/healthy-living/food-beverage/nutri-grade
直近の会計年度の売上が100万シンガポールドル以下で、店で作る飲み物を出す店が10店未満の事業者には、当面この表示を求めない措置があります。シンガポール保健省(MOH)とHPBは、この措置を今後見直すとしています。いちごのソースやシロップを足す量で評価が変わりうるため、シンガポールで出す店は、1杯に使う量をグラムで決めておきます。
作り置きと衛生
公式レシピ6本のうち4本はいちごを加熱せずに使うため、洗い方と保存の温度、仕込んでから使い切るまでの時間を決めておきます。日本の厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」に、その目安があります。
公的な目安
このマニュアルは、同じメニューを1回300食以上または1日750食以上出す施設に適用されますが、厚生労働省は中小規模の調理施設でも趣旨を踏まえた衛生管理を求めています。主な目安は次のとおりです。
- 果物を加熱せずに出すときは、流水で十分に洗い、必要に応じて殺菌したあと、流水ですすぐ
- 生の果物・野菜は10℃前後で保存する
- 作ってすぐ出す食品以外は、10℃以下か65℃以上で管理する
- 調理したあとは、2時間以内に食べることが望ましい
- 加熱する食品は中心部を75℃で1分以上、二枚貝などノロウイルスに汚染されたおそれのある食品は85〜90℃で90秒以上加熱する
ピューレの保存日数
いちごのピューレを何日保存できるかを示した公的な目安は、見つかりませんでした。公式レシピにも保存日数の記載はありません。編集部では、冷蔵庫で10℃以下に保ち、1日に何回かに分けて少量ずつ仕込むやり方をおすすめしています。マニュアルの温度と時間の目安に近づけられるためです。仕込んだ時刻と使い切る時刻を容器に書き、店のきまりとして記録しておきます。
冷凍いちごで気をつけること
米国では2022〜2023年に、メキシコから輸入したいちごを使った冷凍の有機いちごに関連するA型肝炎の集団感染があり、米国疾病予防管理センター(CDC)によると4州で10人が感染し、4人が入院しました。米国食品医薬品局(FDA)は、回収の対象になった冷凍いちごを店で売ったり出したりしないよう呼びかけ、2023年9月に調査を終えています。冷凍いちごは仕入れ先と製品の回収情報を確かめ、加熱せずに使うか、煮てソースにするかを店で決めます。
季節メニューとしての出し方
ストロベリー抹茶ラテは、いちごが出回る時期に合わせた期間限定のメニューにしやすい飲み物です。ここから先は、公式レシピと公的資料をもとにした編集部の提案です。
期間といちごの切り替え
タイでは1960年に北部の山地でいちごの栽培の取り組みが始まり、1972年に初めて栽培に成功して、地元の農家に広まったことが、タイの学術誌の総説にまとめられています。地元の生のいちごが手に入る時期は生のピューレで、それ以外の時期は冷凍いちごのソースで出すと、メニューを1年続けることもできます。切り替えると色と香りが変わるため、写真やメニューの説明は時期ごとに合わせます。
甘さとミルクの選択肢
甘さを「ふつう」「控えめ」の2段階にし、ミルクを牛乳とオーツミルクから選べるようにすると、注文の選択肢が増えます。甘さの段階を増やしすぎると仕込みが複雑になるため、いちごのソースは1種類にして、シロップの量で段階をつけます。
見た目を変える
公開されているレシピには、抹茶の層の上にクリームをのせるものもあります。米国の酪農団体Florida Dairy Farmersは、抹茶を混ぜて泡立てた生クリームを上にのせています。クリームをのせると糖分と飽和脂肪が増えるため、シンガポールではNutri-Gradeの評価も見直します。ホットで出すなら、Grindのように温めたいちごシロップをミルクに混ぜる作り方があります。
1杯の原価の計算
1杯の原価は、抹茶代といちごソース代に、ミルク・氷・カップなどの代金を足して出します。抹茶代は、カフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方と同じ式で計算します。
抹茶代
1杯の抹茶代 = 1kgあたりの仕入れ値 ÷ 1,000 × 1杯に使うグラム数
1杯に2g使うなら、1kgの抹茶で500杯分です。3gなら約330杯分になります。1kgあたりの仕入れ値がどう決まるかは抹茶の値段はどう決まるのかにまとめています。
いちごソース代
いちごソースは、ヘタを取ったり煮詰めたりすると重さが変わるため、できあがった量で割ります。
1gあたりのソース代 = 仕込み1回分の材料費 ÷ できたソースのグラム数
使い切れずに捨てたソースも原価に入るため、1日に仕込んだ量と捨てた量を記録し、捨てる量が多ければ1回に仕込む量を減らします。
原価をそろえる順番
- 1杯に使う抹茶・ソース・ミルクの量をグラムとミリリットルで決める
- 抹茶代とソース代を、上の式で計算する
- ミルク、氷、カップ、ストロー、ふたの代金を足す
- 売価に対する割合を見て、抹茶の量か等級、ソースの量を調整する
抹茶の量と等級を変えたときの味は、店のいちごソースとミルクで作って比べます。Omakase Matchaは宇治・八女・静岡・鹿児島・宮崎の抹茶を扱い、サンプルは3種類まで選べます。抹茶の賞味期限と保存を見て、1か月に使う量から仕入れ量を決めておくと、季節メニューの期間中も同じ抹茶で出し続けられます。
参考にした情報
- Paper & Tea「Iced Strawberry Matcha Latte」 https://www.paperandtea.com/blogs/journal/iced-strawberry-matcha-latte
- La Via del Tè「Strawberry Matcha Latte」 https://www.laviadelte.it/en/blog/strawberry-matcha-latte
- Japanese Taste「How To Make Strawberry Matcha Latte Recipe」 https://japanesetaste.com/blogs/japanese-taste-recipes/how-to-make-a-strawberry-matcha-latte-using-j-taste-matcha-powder
- Domino Sugar「Strawberry Matcha Latte」 https://www.dominosugar.com/recipe/strawberry-matcha-latte
- ArtfulTea「Strawberry Matcha Latte Recipe」 https://artfultea.com/blogs/tea-recipes/strawberry-matcha-latte-recipe
- Grind「Strawberry Matcha Latte Recipe」 https://grind.co.uk/blogs/features/strawberry-matcha-latte-recipe
- Florida Dairy Farmers「Strawberry Matcha Latte」 https://www.floridamilk.com/in-the-kitchen/recipes/desserts/strawberry-matcha-latte.stml
- 農林水産省 aff 2017年4月号「特集2 抹茶(2)」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1704/spe2_02.html
- 一保堂茶舗「Matcha Latte Recipe」 https://ippodotea.com/blogs/recipes-to-brew-japanese-tea/matcha-latte-recipe
- 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成29年6月16日改正) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf
- CDC「Hepatitis A Outbreak Linked to Frozen Organic Strawberries」 https://www.cdc.gov/hepatitis-a/outbreaks/frozen-strawberries-2023/index.html
- FDA「Outbreak Investigation of Hepatitis A Virus Infections: Frozen Strawberries (February 2023)」 https://www.fda.gov/food/outbreaks-foodborne-illness/outbreak-investigation-hepatitis-virus-infections-frozen-strawberries-february-2023
- シンガポール保健促進局(HPB)「Measures for Nutri-Grade」 https://hpb.gov.sg/healthy-living/food-beverage/nutri-grade
- シンガポール保健省(MOH)「Extension of Nutri-Grade requirements to freshly prepared beverages from end 2023」(2023年2月13日) https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/extension-of-nutri-grade-requirements-to-freshly-prepared-beverages-from-end-2023
- WHO「WHO calls on countries to reduce sugars intake among adults and children」(2015年3月4日) https://www.who.int/news/item/04-03-2015-who-calls-on-countries-to-reduce-sugars-intake-among-adults-and-children
- Tantivit, K., Tatmala, N.「Strawberry History, Cultivation and Problems in the Northern Area of Thailand: A review」International Scientific Journal of Engineering and Technology 8(1), 2024 https://ph02.tci-thaijo.org/index.php/isjet/article/view/253684
























































































