タイティーには、オレンジ色のものとは別に、緑茶で作る「ชาเขียวนมเย็น」があります。英語では「Thai green tea」「Thai green milk tea」と呼ばれます。抹茶ラテと同じ緑の飲み物でも、使う茶、色、甘さ、作り方が違います。違いはメーカーの原材料表示と公式レシピで確かめられ、カフェが抹茶版を出すときの配合もそこから決められます。
ชาเขียวนมเย็น(タイの緑茶ミルク)とは
ชาเขียวนมเย็นは、緑茶の茶葉ミックスを湯で出し、甘味と乳を合わせて氷で冷やす飲み物です。オレンジ色のタイティーの、緑茶版にあたります。
名前の意味
タイ語の「ชาเขียว」(チャーキアオ)は緑茶、「นม」(ノム)はミルク、「เย็น」(イエン)は冷たいという意味です。合わせて「冷たい緑茶ミルク」になります。タイ語の「ชาเขียว」は緑茶全体を指す言葉です。抹茶を指すときは、「มัทฉะ」(マッチャ)を付けた「ชาเขียวมัทฉะ」という言い方も使われます。
タイティーとの関係
米国のバブルティー材料の販売会社Bossenは、ChaTraMue(タイの茶ブランド、英語名Number One)の「Thai Green Milk Tea」を、自社のタイティーの茶葉と似ているが、オレンジ色の伝統的なタイティーと違って色はミントのような緑で、味は果実や花の香りが強いと説明しています。茶の種類は緑茶、原産国はタイです。ChaTraMueの公式ページは、自社の緑茶ミックス「Thai Green Tea」(200g)を、タイの涼しい山地で栽培・収穫したもので、ミルクと合わせてホットでもアイスでも飲めると紹介しています。
抹茶ラテとの違い(早見表)
| 比べるところ | ชาเขียวนมเย็น(茶葉ミックス) | 抹茶ラテ |
|---|---|---|
| 茶 | 緑茶の茶葉ミックス(砂糖・香料入りの製品がある) | 抹茶(碾茶を挽いた粉) |
| 作り方 | 湯に浸して漉し、茶液を使う | 湯で溶き、粉ごと使う |
| 色 | 鮮やかな緑。製品によっては着色料を使う | 抹茶の色。抹茶だけの粉なら着色料は入らない |
| 甘味と乳 | パッケージのレシピはクリーマーと砂糖か練乳 | 公式レシピは牛乳が中心で、甘味は少なめか無し |
| カフェイン | 商品ページに記載なし | 抹茶1gあたり約32mgで計算できる |
どちらも緑の冷たいミルクの飲み物ですが、茶の形と甘さの決め方が違います。それぞれ下の節で、出典の数字と合わせて見ていきます。
原料の茶:茶葉ミックスと抹茶
いちばん大きな違いは、茶を漉して液だけを使うか、粉を丸ごと飲むかです。ชาเขียวนมเย็นは茶葉ミックスを湯に浸して漉し、抹茶ラテは抹茶の粉を湯で溶いてそのまま使います。
茶葉ミックスの原材料
Bossenの商品ページでは、ChaTraMueのThai Green Milk Teaの原材料は、緑茶の粉、砂糖、香料(nature identical flavor:天然のものと同じ成分を合成した香料)、黄色5号、青色1号の順に書かれています。砂糖と香料が最初から入った茶葉です。香料の種類は、この表示には書かれていません。
出典: Bossen「Thai Green Milk Tea, Loose Leaf」 https://www.bossenstore.com/products/thai-green-milk-tea-loose-leaf
抹茶は碾茶を挽いた粉
日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」では、抹茶は碾茶(てんちゃ:日光をさえぎって育て、揉まずに乾かした茶葉)を茶臼などで粉にしたものです。抹茶だけの粉なら、原材料は抹茶の1つになります。煎茶など、ほかの緑茶との違いは抹茶と緑茶(煎茶)の違いに、ラベルの見方はPure matcha(ピュア抹茶)とはにまとめています。
作業の違い
茶葉ミックスは、浸す時間と漉す手間がかかり、一度にまとめて作れます。抹茶は1杯ずつ湯で溶くだけで、漉す作業はありません。そのかわり、溶き方が悪いとダマ(溶け残りの粒)が残ります。
色の違い
ชาเขียวนมเย็นの鮮やかな緑は、製品によっては原材料の着色料も関わっています。抹茶だけの粉に着色料は入らないため、色は抹茶の等級や鮮度で変わります。
茶葉ミックスの色
上の原材料の黄色5号(FD&C Yellow No. 5)と青色1号(FD&C Blue No. 1)は、米国の連邦規則で食品への使用が認められている着色料の名前で、黄と青を合わせると緑になります。タイで売られている製品の表示は、タイ語のラベルで確かめます。ほかのブランドの茶葉ミックスは、原材料が違うことがあります。
抹茶の色
抹茶の緑は茶葉そのものの色です。等級や保存の状態で色が変わります。見分け方は抹茶の品質の見分け方にまとめています。
並べて出すときの見え方(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。同じ店で両方を出すと、茶葉ミックスの方が色が鮮やかに見えることがあります。抹茶版はメニュー写真を実物で撮り、色の違いを先に客に見せておくと、受け取ったときの「思っていた色と違う」を防げます。
公式レシピの配合を比べる
パッケージのレシピは、1杯に砂糖か練乳を50〜100g使う配合です。抹茶の公式レシピは、抹茶3gか小さじ1に、甘味は0〜大さじ1程度です。
4つの公式レシピの比較
| 出典 | 茶 | 湯 | 乳 | 甘味 | 1杯の量 |
|---|---|---|---|---|---|
| ChaTraMue Thai Green Milk Tea(パッケージのレシピ、Bossen掲載) | 茶葉 大さじ1(2杯分) | 熱湯1000ml、3〜5分 | クリーマー100g(2杯分) | 砂糖か練乳100〜200g(2杯分) | 16oz(約470ml)×2杯 |
| Carnation(英国の練乳ブランド)Iced Matcha Latte | 抹茶 小さじ1 | 熱湯100ml(5分ほど冷ます) | 低脂肪乳200ml | 練乳 大さじ1(約15ml) | 1杯 |
| 一保堂茶舗 Iced Matcha Latte | 抹茶3g | 80℃の湯100ml | 冷たい牛乳100ml | 記載なし | 1杯 |
| 伊藤園 本格抹茶ラテ(アイス) | 抹茶3g | 湯30ml | 牛乳130g | シロップ5〜10g | 1杯 |
1杯あたりに直すと
| 出典 | 茶液・抹茶液 | 乳 | 甘味 |
|---|---|---|---|
| ChaTraMue(パッケージのレシピ) | 湯500ml分の茶液 | クリーマー50g | 砂糖か練乳50〜100g |
| Carnation | 抹茶液100ml | 低脂肪乳200ml | 練乳 大さじ1(約15ml) |
| 一保堂茶舗 | 抹茶液100ml | 牛乳100ml | 記載なし |
| 伊藤園 | 抹茶液30ml | 牛乳130g | シロップ5〜10g |
茶葉ミックスの1杯は、茶液が多く、乳はクリーマーで足す配合です。抹茶のレシピは、抹茶を少量の湯で濃く溶き、牛乳で量を出す配合です。
表から分かること
パッケージのレシピを1杯に直すと、クリーマー50g、砂糖か練乳50〜100gです。茶葉ミックス自体にも砂糖が入っています。Bossenは、茶を入れすぎたり長く置きすぎたりすると苦くなると注意しています。抹茶の公式レシピは、乳と甘味の量を別々に決めていて、甘味は少なめか、入れないものもあります。
甘さ:タイの注文の決まりと糖分
タイでは保健省が、飲み物の甘さを控えめにする取り組みを、飲料の事業者と一緒に進めています。練乳を使う配合では、1杯の糖分を量で計算できます。
หวานน้อยสั่งได้と、หวานปกติ = หวาน 50%
保健局(กรมอนามัย)の2026年2月11日の発表によると、保健局は2020年から、甘さ控えめ(หวานน้อย)を注文できるようにする「หวานน้อยสั่งได้」を進めてきました。2026年2月11日には保健局長が、店で作る飲み物のふつうの甘さ(หวานปกติ)を半分にする新しい基準「หวานปกติ = หวาน 50%」の開始を宣言し、タイコーヒー協会と7社9ブランドが、全国でこの基準に合わせて甘さの配合を変える意向を示しました。保健省の広報局は2026年7月1日の記事で、保健省の事務次官が「หวานปกติ = หวาน 50%」を食品・飲料の事業者と一緒に進めると話したと伝えています。
出典: タイ保健省 広報局(2026年7月1日) https://pr.moph.go.th/online/index/news/343881
練乳とエバミルクの糖分
米国農務省(USDA)の食品成分データベースでは、加糖練乳の糖類は100gあたり54.4g、エバミルク(無糖練乳:牛乳を濃縮したもの)は10.04gです。製品ごとの値は、それぞれのラベルで確かめます。
1杯の糖分の出し方
1杯の糖分は「使った練乳のg × 0.544」に、砂糖やシロップのgを足して出します。パッケージのレシピで練乳を1杯50gにすると、練乳からの糖は約27gです。砂糖で甘くする場合は、砂糖の量がそのまま糖分になります。茶葉ミックスに入っている砂糖の量は、商品ページには書かれていません。シンガポールの糖分の表示は抹茶ミルクティー・抹茶タピオカの作り方にまとめています。
店で甘さの段階を作る(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。甘さの段階は、練乳か砂糖のgで決めてレシピカードに書きます。たとえば「ふつう」の量を決めたら、「控えめ」はその半分、「なし」は0gにします。茶液に先に甘味を入れて作り置くと段階を付けられないため、甘味は注文ごとに量って入れます。タイの「หวานปกติ = หวาน 50%」に合わせるなら、今のふつうの量の半分を新しい「ふつう」にします。
カフェが抹茶版を出すときの配合(編集部の考え方)
抹茶版は、抹茶3gを少量の湯で溶き、甘味を量って足し、乳で割る形にします。この節は編集部の考え方です。茶葉ミックスのように最初から甘い茶液を作り置かないので、甘さの段階を付けやすくなります。
基本の配合
| 材料 | 量(16oz前後の1杯) |
|---|---|
| 抹茶 | 3g |
| 湯(70〜80℃) | 30〜60ml |
| 練乳 | 段階ごとに決めて計量(例:ふつう・控えめ・なし) |
| 牛乳(エバミルクを一部混ぜてもよい) | 150ml前後 |
| 氷 | グラスいっぱい |
濃さが足りなければ抹茶を4gに増やします。練乳は牛乳と先に混ぜておくと、底に沈みにくくなります。Carnationのレシピも、練乳と牛乳をグラスで混ぜてから抹茶を注ぐ手順です。
作り方
- 抹茶をふるい、湯を半量入れて練ってから残りの湯を足す
- グラスに練乳と牛乳を入れて混ぜ、氷を入れる
- 抹茶を氷の上から注ぐ
2層に見せる注ぎ方やダマを防ぐ溶き方はアイス抹茶ラテの作り方に、氷と一緒に砕く場合は抹茶フラッペの作り方にまとめています。
メニュー名の付け方
メニューでは「ชาเขียวนมเย็น」と「มัทฉะนมเย็น」(抹茶ミルクの冷たいもの)のように名前を分けると、客が選びやすくなります。抹茶だけの粉を使うなら、原材料が抹茶だけの粉であることを仕入れ先の書類で確かめておきます。甘味入りの「抹茶」ミックスで作る場合は、甘さの段階を付けられないことも考えて選びます。
カフェインと1杯の原価
抹茶版のカフェインと抹茶代は、どちらも使う抹茶のgで計算できます。茶葉ミックスのカフェインは、Bossenの商品ページには書かれていません。
カフェイン
文部科学省の日本食品標準成分表では、抹茶のカフェインは100gあたり3.2g(1gあたり約32mg)です。3gで96mg、4gで128mgになります。茶葉ミックスで作る緑茶ミルクの値を答える必要があれば、メーカーに確かめます。ほかの飲み物との比較は抹茶のカフェインにまとめています。
原価の計算式
抹茶代は「使う抹茶のg × 1kgあたりの仕入れ値 ÷ 1,000」です。これに「練乳のg × 1gあたりの値段」「牛乳のml × 1mlあたりの値段」、氷・カップ・ふた・ストローの代金を足します。茶葉ミックスの1杯は「1袋の値段 ÷ 1袋で作れる杯数」に、クリーマーと甘味の代金を足して比べます。両方を同じ式で出すと、抹茶版の売値をいくらにすればよいかが分かります。タイで抹茶を仕入れる方法はタイのカフェが業務用の抹茶パウダーを仕入れる方法にまとめています。
参考にした情報
- Bossen「Thai Green Milk Tea, Loose Leaf」 https://www.bossenstore.com/products/thai-green-milk-tea-loose-leaf
- ChaTraMue「Thai Green Tea (7.06 oz / 200g)」 https://chatramue.com/collections/tea/products/thai-green-tea-bag-200-g
- Carnation(英国)「Iced Matcha Latte」 https://www.carnation.co.uk/recipes/matcha-latte
- 一保堂茶舗「Iced Matcha Latte」 https://ippodotea.com/blogs/recipes-to-brew-japanese-tea/iced-matcha-latte
- 伊藤園「茶リスタ 小山和裕氏監修!本格抹茶ラテ」 https://www.itoen.jp/recipe/45614/
- タイ保健省 広報局(2026年7月1日) https://pr.moph.go.th/online/index/news/343881
- タイ保健省 保健局「สธ.จับมือ 9 แบรนด์ ร่วมนโยบาย “หวานปกติ = หวาน 50%”」(2026年2月11日) https://multimedia.anamai.moph.go.th/news/1102692/
- 米国連邦規則 21 CFR 74.705(FD&C Yellow No. 5)・74.101(FD&C Blue No. 1) https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-A/part-74
- 米国農務省 FoodData Central「Milk, canned, condensed, sweetened」 https://fdc.nal.usda.gov/food-details/171275/nutrients
- 米国農務省 FoodData Central「Milk, canned, evaporated, with added vitamin D and without added vitamin A」 https://fdc.nal.usda.gov/food-details/171276/nutrients
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
- 日本茶業中央会「緑茶の表示基準」 https://www.nihon-cha.or.jp/pdf/hyoujikijyun.pdf
























































































