抹茶スムージーは、抹茶と果物、ミルクや果汁をブレンダーで混ぜた冷たい飲み物です。器に入れて果物やナッツをのせるとスムージーボウルになります。この記事では、農林水産省の日本食の紹介サイト、茶の会社、ブレンダーのメーカー、食品会社の公式レシピを並べ、店で決める配合、果物、冷やし方、プロテイン、衛生、糖分の表示、1杯の原価を見ていきます。
抹茶スムージーとは
抹茶スムージーは、果物を主体に、抹茶と液体を混ぜてとろみを出す飲み物です。氷とミルクが中心の抹茶フラッペとは、冷やし方ととろみの出し方が違います。
フラッペとの違い
Cambridge Dictionaryは、スムージーを「果物と、しばしばヨーグルトかアイスクリームで作り、なめらかになるまで混ぜた濃い冷たい飲み物」、フラッペを「部分的に凍った飲み物、または氷を多く使い、ミルク・果汁・酒を含む飲み物」としています。後で見る公式レシピの抹茶スムージーは、どれも冷凍の果物を使っています。フラッペの配合と氷の量は抹茶フラッペの作り方にまとめています。
スムージーボウル
農林水産省のTaste of Japanは、冷凍バナナと抹茶のスムージーを器に入れて冷蔵庫で冷やし、ブルーベリー、チアシード、ナッツをのせています。このように器に入れて果物などをのせ、スプーンで食べる形が、スムージーボウルと呼ばれるものです。
メニューの呼び名
英語では「Matcha Smoothie」「Matcha Banana Smoothie」、タイ語では「สมูทตี้มัทฉะ」「มัทฉะสมูทตี้」と書けます。ボウルは「Matcha Smoothie Bowl」とし、のせる果物も書いておくと注文の取り違えを防げます。
公式レシピの配合を比べる
公式レシピはどれもバナナを使い、抹茶は1杯あたり小さじ½から3gほどです。液体はミルク、植物性ミルク、ココナッツウォーターなどに分かれます。
5つの公式レシピの比較
| 出典 | 抹茶 | 果物 | 液体・ほか | 杯数 |
|---|---|---|---|---|
| 農林水産省 Taste of Japan「Matcha smoothie」 | 12g | 冷凍バナナ600g | アーモンドミルク175ml、デーツ4個 | 4人分(ボウル) |
| 伊藤園(米国)Tropical Matcha Smoothie | 小さじ1(Culinary Matcha) | バナナ1本、冷凍マンゴー1カップ、冷凍パイナップル1カップ | ココナッツウォーター1½カップ | 2杯 |
| 伊藤園(米国)Berry Matcha Smoothie | 小さじ1(Culinary Matcha) | バナナ1本、冷凍ブルーベリー1カップ、冷凍いちご1カップ | 牛乳1¼カップ、ギリシャヨーグルト½カップ | 2杯 |
| Vitamix「Creamy Matcha Oat Smoothie」 | 大さじ1 | 冷凍バナナ3本 | 豆乳2カップ、オーツ1カップ、デーツ4個 | 記載なし |
| Bob’s Red Mill「Matcha Mango Smoothie」 | 小さじ½ | 冷凍マンゴー1¼カップ、バナナ½本、クコの実大さじ2 | ココナッツミルク1¼カップ、アーモンドのプロテインパウダー⅓カップ、氷½カップ | 1杯(約2½カップ) |
表から分かること
1人分にすると、農林水産省は抹茶3g・冷凍バナナ150g・アーモンドミルク約44mlで、果物に対して液体がとても少ない配合で、器に入れてスプーンで食べる形にしています。伊藤園は2杯で抹茶小さじ1なので、1杯は小さじ½です。
5つのうち4つが冷凍の果物で冷やし、氷を入れていません。砂糖などの甘味料を足すのはBob’s Red Millだけで、農林水産省とVitamixはデーツを入れています。
店の基準の決め方(編集部の考え方)
ここからは、上の比較をもとにした編集部の考え方です。飲むスムージーは、冷凍果物150〜200gに液体200ml前後から始め、抹茶は2gと3gの2通りで試します。ボウルは液体を半分以下に減らします。決めた配合は、果物・液体・抹茶・甘味をgかmlでレシピカードに書きます。小さじやカップの量は人によって変わるためです。
果物の組み合わせ
公式レシピで抹茶と合わせている果物は、バナナ、マンゴー、パイナップル、ベリー類で、葉物を入れるレシピもあります。甘味にはデーツを使うレシピがあります。
バナナでとろみと甘さを出す
5つのレシピすべてがバナナを使っています。農林水産省とVitamixは、冷凍バナナにデーツを合わせるだけで、ほかの果物は入れていません。伊藤園のBerry Matcha Smoothieは、バナナと冷凍ベリーにギリシャヨーグルトを加えています。
マンゴー・パイナップル・ベリー
伊藤園はマンゴーとパイナップルをココナッツウォーターで、ブルーベリーといちごを牛乳とギリシャヨーグルトで合わせています。Bob’s Red Millはマンゴーにライム果汁とクコの実を加えています。抹茶ラテにいちごを合わせる作り方はストロベリー抹茶ラテの作り方にあります。
葉物と酸のある果汁
伊藤園のSuperfood Smoothieは、ほうれん草1カップ、冷凍マンゴー、ライム果汁、生姜を合わせています。ライム果汁のような酸の強い材料は、抹茶の緑色をあせさせることがあります。理由と色を残す工夫は抹茶レモネード・トニック・ソーダの作り方で説明しています。
冷凍果物と氷、入れる順番
公式レシピの多くは冷凍の果物で冷やし、氷を入れていません。氷を入れるレシピは、5つのうちBob’s Red Millだけです。
冷凍果物で冷やす
農林水産省のレシピは、皮をむいたバナナを2つに切り、前日に冷凍しています。伊藤園はマンゴー、パイナップル、ベリーを冷凍で使っています。店では、果物を1杯分ずつ量って冷凍しておくと、注文ごとに量る手間が減ります。
氷を足すレシピ
Bob’s Red Millは、冷凍マンゴー1¼カップに加えて氷を½カップ入れています。氷を使うなら、量りやすい小さい氷を、決めた量だけ入れます。氷の形と量り方は抹茶フラッペの作り方で紹介したVitamixの業務用の記事に沿っています。
入れる順番と時間
Vitamixは業務用の記事で、液体、抹茶やプロテインのような粉、冷凍の果物や氷の順に入れる手順を示しています。粉は、液体に溶けるように液体の後に入れるとしています。Vitamixの抹茶スムージーは、低速から始めて高速に上げ、40〜50秒回しています。
プロテインを足すとき
プロテインを足したスムージーの栄養をメニューや広告で表すときは、シンガポールでは栄養と健康の表示のルールに沿って書きます。プロテインパウダーは、粉なので液体の後に入れます。
公式レシピの例
Bob’s Red Millは、1杯にアーモンドのプロテインパウダー⅓カップを入れ、抹茶は小さじ½にしています。プロテインパウダーには味や甘味が付いたものもあるため、店では使う銘柄を決めてから、抹茶と甘味の量を合わせ直します。
シンガポールの表示のルール
シンガポール食品庁(SFA)の表示と広告の手引きは、エネルギー、たんぱく質、糖などの栄養の性質を示したり比べたりする表現を「栄養強調表示」としています。栄養強調表示は、食品規則とシンガポール保健促進局(HPB)の指針に従えば使えます。一方で、食べると健康になる、体の状態が良くなるといった表現は禁じられています。
メニューの書き方(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。メニューには「High Protein」のような栄養の表現より先に、「アーモンドのプロテインパウダー入り」と中身を書きます。量を書くなら、使う銘柄の栄養表示から1杯分を計算し、HPBの指針の条件を確かめます。タイで同じ書き方をする場合は、タイ食品医薬品局(タイFDA)の表示の規則を確かめます。ラベルの表現の注意は抹茶のプライベートブランドにもまとめています。
切った果物と葉物の衛生
スムージーの果物を先に切っておく店は、切った果物を冷やして保ち、置ける時間を決めます。シンガポール食品庁と米国のFDA Food Codeが、切った果物や葉物の扱いを示しています。
シンガポール食品庁の目安
シンガポール食品庁によると、果物を十分に洗わないと、皮に付いたリステリア(食中毒の原因になる細菌)が、切るときに果肉に移ることがあります。汚れた器具や台も原因になります。カンタロープのような酸の少ない果物では、特に増えやすいとしています。SFAは消費者向けに、すぐ食べない切った果物は4℃以下で冷蔵し、室温に2時間を超えて置いたものは捨てるよう勧めています。食品を扱う人向けには、生の野菜と果物の扱いについて別の指針があるとしています。
出典: シンガポール食品庁(SFA)「Listeria Risk in Cut Fruits」 https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/listeria-cut-fruits
FDA Food Codeの温度管理が必要な食品
米国のFDA Food Code 2022は、病原菌の増殖を抑えるために時間か温度の管理が必要な食品(TCS食品)に、切ったメロン、切った葉物、切ったトマトと、生や加熱した動物性の食品を含めています。葉物には、ほうれん草、ケール、キャベツ、レタス類などが入ります。ミルクやヨーグルトも動物性の食品です。
出典: U.S. Food and Drug Administration「Food Code 2022」1-201.10 https://www.fda.gov/media/164194/download
Food Codeは、TCS食品を冷やして保つ場合は5℃(41°F)以下としています。店で作って24時間を超えて冷蔵する、そのまま食べられるTCS食品には、食べる・売る・捨てる期限の日付を付け、5℃以下で最長7日とし、作った日を1日目と数えます。これは上限で、切った果物が7日もつという意味ではありません。Food Codeは米国の州や自治体が規則を作るときのモデルで、実際に守る基準は店のある国や自治体の規則で確かめます。
仕込みの考え方(編集部の考え方)
ここからは編集部の考え方です。冷凍で使う果物は洗ってから切って冷凍し、袋に日付を書きます。生のまま使う果物やほうれん草は、冷蔵庫で保ち、出した時刻を書いて、室温に出す時間をSFAの2時間より短く区切ります。タイの店は、2018年の飲食店の衛生に関する省令にもとづく講習の内容も確かめます。講習については抹茶カフェ・抹茶スタンドを始めるにはにあります。溶いた抹茶の作り置きはアイス抹茶ラテの作り方で扱っています。
糖分の表示とカフェイン
シンガポールでは、店で作るスムージーも糖分と飽和脂肪の表示「Nutri-Grade」の対象です。カフェインは、1杯に使う抹茶のg数で決まります。
Nutri-Grade
シンガポール保健促進局(HPB)は、店で作る飲み物の例に「freshly blended smoothies」を挙げています。シンガポール保健省(MOH)によると、2023年12月30日から店で作る飲み物も対象になり、CかDの評価の飲み物はメニューの横に表示が必要です。年商100万シンガポールドル以下で、10店未満で売る小規模な事業者には、当面この表示を求めない措置があります。制度の詳細はストロベリー抹茶ラテの作り方にまとめています。
スムージーボウルとトッピング
HPBは飲み物の例を挙げていますが、スプーンで食べるボウルをどう扱うかは書いていません。ボウルを出す店は、HPBに確かめます。店で作る飲み物に足せるトッピングは、糖分をメニューなどに書く必要があります。飲むスムージーにトッピングを選べるようにする場合は、その糖分も書きます。
1杯のカフェイン
文部科学省の日本食品標準成分表では、抹茶のカフェインは100gあたり3.2gで、1gあたり約32mgです。農林水産省のボウルの1人分(抹茶3g)なら約96mg、抹茶2gなら約64mgです。果物や液体を増やしても、1杯のカフェインは変わりません。ほかの飲み物との比較は抹茶のカフェインにあります。
使う抹茶の等級と1杯の原価
伊藤園の3つのレシピは、Culinary Matcha(料理用の抹茶)を使っています。果物やミルクと合わせるスムージーは、ストレート用の高い等級でなく、ラテ向けや加工用の等級から試せます。
等級の選び方
ここからは編集部の考え方です。果物の多い配合では、等級を上げる前に、抹茶のg数を変えて味を比べます。植物性ミルクで作る場合は、オーツミルクの抹茶ラテのように、店で使うミルクと合わせて比べます。等級の違いは抹茶の等級に、ラテ向けの選び方はカフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方にまとめています。
原価の計算式
1杯の抹茶代は、使う抹茶のg数 × 1kgあたりの仕入れ値 ÷ 1,000です。これに、果物(1杯のg数 × 1gあたりの値段)、液体、プロテインパウダー、甘味、トッピング、カップ・ふた・ストローの代金を足したものが材料費です。ボウルは器とスプーンの代金も入れます。抹茶の値段の決まり方は抹茶の値段はどう決まるのかにあります。
メニューに加えるとき
Omakase Matchaは、産地から仕入れた抹茶を1kgから卸し、サンプルを3種類まで請求できます。店で使う果物とミルクでスムージーを作り、2gと3gで味の出方を比べてから決めると、仕入れる等級を絞り込めます。
参考にした情報
- Cambridge Dictionary「smoothie」 https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/smoothie
- Cambridge Dictionary「frappe」 https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/frappe
- 農林水産省 Taste of Japan「Matcha smoothie」 https://japan-food.jetro.go.jp/en/recipe/118.html
- ITO EN「Tropical Matcha Smoothie」 https://itoen.com/blogs/recipes/tropical-matcha-smoothie
- ITO EN「Berry Matcha Smoothie」 https://itoen.com/blogs/recipes/berry-matcha-smoothie
- ITO EN「Matcha Superfood Smoothie」 https://itoen.com/blogs/recipes/matcha-superfood-smoothie
- Vitamix「How to Make a Creamy Matcha Oat Smoothie」 https://www.vitamix.com/mx/en_us/articles/how-to-make-a-creamy-matcha-oat-smoothie
- Vitamix「Four Causes of Beverage Inconsistency」 https://www.vitamix.com/us/en_us/articles/four-causes-of-beverage-inconsistency
- Bob’s Red Mill「Matcha Mango Smoothie」 https://bobsredmill.com/recipes/how-to-make/matcha-mango-smoothie
- Singapore Food Agency「A Guide to Food Labelling and Advertisements」 https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/food-information/labelling-and-packaging-information/a-guide-to-food-labelling-and-advertisements.pdf
- シンガポール食品庁(SFA)「Listeria Risk in Cut Fruits」 https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/listeria-cut-fruits
- U.S. Food and Drug Administration「Food Code 2022」 https://www.fda.gov/media/164194/download
- シンガポール保健省(MOH)「Implementation of Nutri-Grade requirements for freshly prepared beverages from 30 December 2023」 https://www.moh.gov.sg/newsroom/implementation-of-nutri-grade-requirements-for-freshly-prepared-beverages-from-30-december-2023/
- シンガポール保健促進局(HPB)「Measures for Nutri-Grade」 https://hpb.gov.sg/healthy-living/food-beverage/nutri-grade
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
























































































