抹茶ラテをメニューに入れると、最初に困るのが「どれだけ仕入れればよいか」です。少なすぎれば日本から届く前に切れ、多すぎれば開けた袋の香りが落ちていきます。1杯に使う抹茶の量から月の使用量を出し、日本から届くまでの日数を足して、いつ・どれだけ頼むかを計算する方法をまとめました。
抹茶の仕入れ量を決める4つの数字
抹茶の仕入れ量は、1杯のg数、1日の杯数、届くまでの日数、開けた袋を使い切る日数の4つで決まります。前の2つで使う量が決まり、後の2つで在庫をどれだけ持つかが決まります。
使う量を決める数字
1か月の使用量は、次の式で出せます。
1か月の使用量 = 1杯のg数 × 1日の杯数 × 営業日数
1杯のg数はレシピで決まり、1日の杯数は売れ行きで決まります。抹茶を使うメニューが複数ある店は、メニューごとに計算して足します。
在庫を決める数字
日本から仕入れる場合、注文してから店に届くまでに日数がかかります。その間に使う分を手元に残しておかないと、次が届く前に切れます。一方で、抹茶は開けたときから香りと色が落ちていくため、開けた袋をどれだけの日数で使い切れるかで、1袋の大きさの上限が決まります。開封後の目安と保存のしかたは抹茶の賞味期限と保存に、1kg袋の扱いは業務用抹茶の選び方にまとめています。
1杯に使う抹茶の量
抹茶ラテの公式レシピでは、1杯の抹茶は2〜4gです。1杯3gなら、1kgで約333杯作れます。
公式レシピの1杯のg数
茶の会社などのレシピで、抹茶をgで書いているものは次のとおりです。
| レシピ | 1杯の抹茶 | ほかの材料 |
|---|---|---|
| Kurasu Kyoto(京都のコーヒー店)の抹茶ラテ | 2.5g | 湯30〜40ml、牛乳150g |
| 一保堂茶舗の抹茶ラテ | 3g | 80℃の湯100mL、ミルク100mL |
| 一保堂茶舗のアイス抹茶ラテ | 3g | 80℃の湯100mL、冷たい牛乳100mL、氷 |
| 伊藤園の冷たい抹茶ラテ | 3g | 湯30ml、牛乳130g、氷 |
| Matchaful(米国の抹茶の会社)のココナッツウォーター抹茶 | 4g | ココナッツウォーター5液量オンス(約150ml) |
ほかのドリンクの抹茶の量は、抹茶ドリンクの一覧にまとめています。配合の違いと作り方はホット抹茶ラテの作り方とアイス抹茶ラテの作り方にあります。
小さじで量るレシピのg数
農林水産省の広報誌のレシピのように、抹茶を「ティースプーン1杯」「小さじ1」で示すものもあります。一保堂茶舗は、薄茶(茶碗で点てる普通の濃さの抹茶)の2gを小さじすり切り1杯としています。店では小さじではなく、はかりで量ったg数を基準にしておくと、月の使用量の計算と実際の減り方がずれにくくなります。
1kgで何杯作れるか
| 1杯の抹茶 | 1kgで作れる杯数 |
|---|---|
| 2g | 500杯 |
| 2.5g | 400杯 |
| 3g | 約333杯 |
| 4g | 250杯 |
1杯の量を1g変えると、1kgで作れる杯数は80〜170杯ほど変わります。1杯のg数は、味だけでなく仕入れ量と原価の両方に響きます。
1日の杯数から1か月の使用量を出す
1日30杯・1杯3gの店は、30日営業で1か月2.7kgの抹茶を使います。メニューが複数ある店は、メニューごとに出して足し、実際の袋の減り方で直します。
杯数とg数ごとの1か月の使用量
30日営業の場合の1か月の使用量です(編集部の計算)。
| 1日の杯数 | 1杯2g | 1杯3g | 1杯4g |
|---|---|---|---|
| 10杯 | 0.6kg | 0.9kg | 1.2kg |
| 20杯 | 1.2kg | 1.8kg | 2.4kg |
| 30杯 | 1.8kg | 2.7kg | 3.6kg |
| 50杯 | 3.0kg | 4.5kg | 6.0kg |
| 80杯 | 4.8kg | 7.2kg | 9.6kg |
| 100杯 | 6.0kg | 9.0kg | 12.0kg |
営業日が26日なら、表の数字に26/30を掛けます。開業前の計画の立て方は抹茶カフェ・抹茶スタンドを始めるにはにまとめています。
メニューが複数ある店の計算例
たとえば、上の公式レシピの量で次の3品を出す店を考えます。
| メニュー | 1日の杯数 | 1杯の抹茶 | 1日の量 |
|---|---|---|---|
| ホット抹茶ラテ(Kurasu Kyotoの量) | 15杯 | 2.5g | 37.5g |
| アイス抹茶ラテ(一保堂茶舗・伊藤園の量) | 25杯 | 3g | 75g |
| ココナッツウォーター抹茶(Matchafulの量) | 5杯 | 4g | 20g |
| 合計 | 45杯 | 132.5g |
この店は1日132.5g、30日で約4.0kgの抹茶を使います。お菓子にも抹茶を使う店は、1日に作る台数×1台のg数を同じ表に足します。
実際の減り方で直す
計算の量と実際に使う量は、試作、こぼれ、量り方のくせでずれます。ここからは編集部の提案です。週の初めと終わりに、開けている袋と未開封の在庫の重さを量り、その差を1週間の実際の使用量として記録します。売れた杯数から出した量との差が大きければ、1杯の量り方を見直すか、差の分を使用量に足して計算します。
1kg袋は何日でなくなるか
1kg袋がなくなるまでの日数は、1,000gを1日の使用量で割って出します。1日90gの店なら約11日です。
1日の使用量ごとの日数
| 1日の使用量(1杯3gなら) | 1kg袋 | 500g袋 |
|---|---|---|
| 30g(10杯) | 約33日 | 約17日 |
| 60g(20杯) | 約17日 | 約8日 |
| 90g(30杯) | 約11日 | 約6日 |
| 150g(50杯) | 約7日 | 約3日 |
| 240g(80杯) | 約4日 | 約2日 |
| 300g(100杯) | 約3日 | 約2日 |
上のメニューが複数ある店の例(1日132.5g)では、1kg袋は約7.5日でなくなります。
袋の大きさを決めるときの考え方
一保堂茶舗は、開封後1か月以内に飲むのが一番おいしいとしています。表で1kg袋が1か月を超えるのは、1日の使用量が30gほどの店です。1日の使用量が少ない店は、1kgを一度に開けず、小さい袋に分けて仕入れるか、開ける袋を1つずつにします。保存の方法や小分けのしかたは、抹茶の賞味期限と保存と業務用抹茶の選び方で扱っています。
日本から届くまでの日数
日本郵便のEMS(国際スピード郵便)の標準日数は、シンガポール2〜3日、タイ3〜4日、インドネシア8〜9日です。これは郵便局に出してから届くまでの日数で、注文から店に届くまでの日数はもっと長くなります。
EMSの標準日数
日本郵便は、差し出す地域ごとにEMSのお届け日数表を公開しています。抹茶の主な産地がある地域から、3か国への標準日数は次のとおりです。
| 差し出す地域 | シンガポール | タイ | インドネシア |
|---|---|---|---|
| 東京 | 2日 | 3日 | 8日 |
| 東海(静岡・愛知・岐阜・三重) | 2日 | 3日 | 8日 |
| 近畿(京都・大阪・奈良など) | 2日 | 3日 | 8日 |
| 九州(福岡・宮崎・鹿児島など) | 3日 | 4日 | 9日 |
出典: 日本郵便「お届け日数表(EMS:九州)」 https://www.post.japanpost.jp/send/oversea/date/ems/kyushu.html
日本郵便は、表の日数に差し出した日は含まないとしています。また、通関に特別に時間がかかるものは日数が変わることがあり、土・日・休日をはさむときや飛行機が遅れたときは、さらに日数がかかるとしています。表の日数は約束された日数ではありません。
標準日数のほかに足す日数
注文から店に届くまでには、EMSの日数のほかに次の日数がかかります。
- 仕入れ先が注文を受けて、出荷するまでの日数(前払いなら、入金の確認も含む)
- 輸入の手続きの日数。シンガポールでは出荷ごとに輸入許可(CCP)が要る場合があり、インドネシアでは輸入のたびにBPOM(インドネシア食品医薬品監督庁)の輸入許可(SKI)を取ります
- 届いてから、検品して店の棚や冷蔵庫に入れるまでの日数
出荷までの日数は仕入れ先ごとに違うため、見積もりの段階で聞いておきます。輸入の手続きはシンガポールに抹茶を輸入するには、タイに抹茶を輸入するには、インドネシアに抹茶を輸入するにはにまとめています。
航空貨物・船便の日数
航空貨物や船便の日数は、使う便と港・空港での待ち時間で変わり、日本郵便のEMSのような公開された標準日数は見つかりませんでした。輸送を頼む業者に、出荷から店に届くまでの日数を見積もりで出してもらいます。送り方ごとの違いと、輸送中の温度・湿気は抹茶を日本からシンガポール・タイ・インドネシアへ送る方法にまとめています。
発注のタイミング:発注点の出し方
在庫が「発注点」まで減ったら、次を頼みます。発注点は、届くまでの日数に使う量に、遅れや売れ行きの波に備える分を足したものです。
在庫管理の発注点の式
在庫管理では、在庫が一定の量(発注点)まで減ったら決まった量を発注するやり方を、発注点法(定量発注法)と呼びます。東京海洋大学の黒川久幸研究室の講義資料では、発注点は、調達期間(注文してから届くまでの期間)中の需要量の平均に、安全在庫を足したものとして示されています。
出典: 黒川久幸(東京海洋大学)在庫マネジメント講義資料「発注方式①」 https://www2.kaiyodai.ac.jp/~kurokawa/lecture/im/m/im09.pdf
式の後半の安全在庫は、売れ行きのばらつき(標準偏差)が大きいほど、届くまでの期間が長いほど大きくなります。
カフェ向けに直した式
日々の杯数のばらつきを計算するのは手間がかかるため、編集部では、安全在庫を「余裕の日数」に置き換えた次の式を勧めます。
発注点 = 1日の使用量 × 届くまでの日数と余裕の日数の合計
届くまでの日数は、出荷までの日数、輸送の日数、輸入の手続きと検品の日数を足したものです。余裕の日数は、週末や祝日をはさむ分、通関で遅れたときの分を見て決めます。売れ行きの波が大きい店は、1か月の平均ではなく、いちばん忙しい週の1日あたりの使用量で計算します。
国別の計算例
1日90g(1杯3gで30杯)の店で、出荷まで2日、受け取りから店に入れるまで1日、余裕を4日と仮に置いて計算しました。輸送の日数はEMSの標準日数です(編集部の計算)。
| 届け先 | 差し出す地域 | 届くまでの日数(仮) | 余裕を足した日数 | 発注点 |
|---|---|---|---|---|
| シンガポール | 東京・東海・近畿 | 2+2+1=5日 | 9日 | 810g |
| シンガポール | 九州 | 2+3+1=6日 | 10日 | 900g |
| タイ | 東京・東海・近畿 | 2+3+1=6日 | 10日 | 900g |
| タイ | 九州 | 2+4+1=7日 | 11日 | 990g |
| インドネシア | 東京・東海・近畿 | 2+8+1=11日 | 15日 | 1,350g |
| インドネシア | 九州 | 2+9+1=12日 | 16日 | 1,440g |
同じ1日90gの店でも、インドネシアでは1.4kg前後の在庫が残っているうちに次を頼む計算になります。出荷までの日数と余裕の日数は、仕入れ先の回答と自分の店の記録で置き換えます。
1回に頼む量と発注の間隔
1回に頼む量は、次に頼むまでの分より多く、開けた袋と未開封の在庫を品質を保てる範囲で持てる量より少なくします。量が決まれば、発注の間隔は「1回に頼む量÷1日の使用量」で出ます。
下限:届くまでに切れない量
1回に頼む量が少なすぎると、届いてすぐに発注点を下回り、発注が続きます。1日90gの店で1kgずつ頼むと、発注の間隔は約11日で、1か月に3回ほど頼むことになります。シンガポールの出荷ごとの輸入許可や、インドネシアの輸入のたびのSKIのように、出荷の回数だけ手続きが増える国では、回数が多いほど手間がかかります。
上限:品質を保って持てる量
上限は、開けた袋の使い切りの日数と、未開封の在庫を置ける場所で決まります。加工用の原料抹茶の保存試験では、25℃以下なら24週、商品の特徴を保てた一方、37℃では3〜4週で品質がかなり悪くなりました。シンガポール・タイ・インドネシアのように暑い国では、冷蔵庫やエアコンの効いた場所に入る量が、未開封の在庫の上限の目安になります。置き場所ごとの考え方は抹茶の賞味期限と保存の「仕入れ量の決め方」にあります。
計算例
1日90gのシンガポールの店(発注点810g、届くまで5日)が、1回2kg(1kg袋2つ)を頼む場合です(編集部の計算)。
- 発注の間隔:2,000g÷90g=約22日
- 発注してから届くまでの5日で使う量:90g×5日=450g
- 届いたときに残っている量:810g−450g=360g(余裕の4日分)
- 届いた直後の在庫:360g+2,000g=約2.4kg
この店は、開けた1kg袋を約11日で使い切り、未開封の1kg袋1つと残りの分を冷蔵庫で持つことになります。仕入れ先が決めている1回の最低の量(最低ロット)が1か月の使用量より多いときの考え方は、抹茶を卸で仕入れる方法にまとめています。
仕入れ量を見直すとき
1日の使用量が変わったら、発注点と1回に頼む量も計算し直します。講義資料でも、季節で需要が変わる商品は、発注量と発注点を計算し直す必要があるとしています。
季節と新しいメニュー
暑い時期にアイスの杯数が増える、新しい抹茶ドリンクを出す、といった変化があれば、1日の使用量から出し直します。新しいメニューを出す月は、試作の分も使用量に足しておきます。
1杯のg数や等級を変えるとき
1杯を3gから2.5gにすると、1日30杯の店の1か月の使用量は2.7kgから2.25kgに減ります。等級を変えるときは、新しい抹茶で味を確かめる試作の分も見込みます。等級の違いは抹茶の等級に、売価に合わせた選び方はカフェの抹茶ラテに使う抹茶の選び方にまとめています。
年間の量を早めに伝える
碾茶(てんちゃ:抹茶の原料になる茶葉)は、全農京都茶市場の一番茶の取引平均単価が、2024年の1kg 5,402円から2026年は17,797円(6月19日時点)に上がりました(一保堂茶舗の発表)。1年に使う量の見込みを早めに仕入れ先へ伝えておくと、量と値段の相談がしやすくなります。値上がりの経緯は抹茶は今も足りないのかにまとめています。
Omakase Matchaは、1商品1kgから注文でき、サンプルは3種類まで取り寄せられます。国ごとの取引の条件は取引方法で確認できます。
参考にした情報
確認日:2026年10月22日
- 一保堂茶舗「Matcha Latte」 https://ippodotea.com/blogs/recipes-to-brew-japanese-tea/matcha-latte-recipe
- 一保堂茶舗「Iced Matcha Latte」 https://ippodotea.com/blogs/recipes-to-brew-japanese-tea/iced-matcha-latte
- 一保堂茶舗「Usucha (Classic Matcha)」 https://ippodotea.com/blogs/recipes-to-brew-japanese-tea/usucha-thin-matcha
- 一保堂茶舗「How to Keep Your Matcha Fresh」 https://ippodotea.com/blogs/ippodo-tea-blog/how-to-keep-your-matcha-fresh
- 伊藤園「茶リスタ 小山和裕氏監修!本格抹茶ラテ」 https://www.itoen.jp/recipe/45614/
- Kurasu Kyoto「Kurasu Blend / SUI 美味しい『抹茶ラテ』のレシピ」 https://jp.kurasu.kyoto/blogs/kurasu-journal/okumidori-no-sugar-recipe
- Matchaful「Recipe: Coconut Water Matcha」 https://www.matchaful.com/blogs/the-matchaful-blog/coconut-water-matcha
- 農林水産省 aff 2017年4月号「特集2 抹茶(2)」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1704/spe2_02.html
- 日本郵便「お届け日数表(EMS)」 https://www.post.japanpost.jp/send/oversea/date/ems/index.html
- 日本郵便「お届け日数表(EMS:東京)」 https://www.post.japanpost.jp/send/oversea/date/ems/tokyo.html
- 日本郵便「お届け日数表(EMS:東海)」 https://www.post.japanpost.jp/send/oversea/date/ems/tokai.html
- 日本郵便「お届け日数表(EMS:近畿)」 https://www.post.japanpost.jp/send/oversea/date/ems/kinki.html
- 日本郵便「お届け日数表(EMS:九州)」 https://www.post.japanpost.jp/send/oversea/date/ems/kyushu.html
- 黒川久幸(東京海洋大学)在庫マネジメント講義資料「発注方式①」 https://www2.kaiyodai.ac.jp/~kurokawa/lecture/im/m/im09.pdf
- Singapore Food Agency「Application Process & Fees for Licence / Permit / Registration for Import / Export」 https://www.sfa.gov.sg/food-import-export/licence-permit-registration/application-process-fees-for-licence-permit-registration-for-import-export
- BPOM規則2022年27号(2023年28号で改正。食品・医薬品の輸入の監督) https://pasal.id/peraturan/perban/peraturan-bpom-no-28-tahun-2023
- 一保堂茶舗「2026年10月・11月 商品仕様の見直しと価格改定について」(2026年9月1日) https://www.ippodo-tea.co.jp/blogs/news/20260901
- 原口康弘ほか「原料抹茶の保存条件が品質に与える影響」茶業研究報告 93号(2002) https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha1953/2002/93/2002_93_1/_pdf
























































































